【ベスト911を探せ】ど真ん中はドナタ グレードと装備を徹底比較 後編
公開 : 2021.02.27 21:45 更新 : 2021.07.12 18:47
ターボSで知るハイテクの功罪
この4台に加えられたターボSは、バレエ教室にチュチュを着てやってきたマイク・タイソンのようだ。B級道路を走ると、そんなイメージと同じくらい、すべてがショッキングだった。
このクルマには、ポルシェが911に用意した運動性能を高めるトリックが軒並み詰め込まれている。だから、1640kgもの重量がありながら、アルカンターラ巻きのステアリングホイール越しのフィールが、どういうわけかほかよりも軽いクルマのように感じられるのだ。
恐ろしいくらいダイレクトだが、とてつもなく安定性が高く、フィードバックは驚くほど路面をザラつきを伝えてくるのである。
では、このクルマから何を知ることができるというのだろうか。それは、数々のトリックが何をもたらすのかに他ならない。
やっぱりMTが好き
まず、ステアリングは、同じく四輪駆動と後輪操舵を備えるカレラ4Sより歯切れいいが、それはコンポジットブレーキによるバネ下重量低減によるものだと思われる。高価だが、テスター4人のうち3人が装着したいといったアイテムだ。
次に、切り替え式のアクティブスタビライザーは、コーナーリング中に荷重移動を制限するため自動的にねじれるのだが、公道上では効果が過剰だ。
ターボSのおかげで、ハイテク装備の功罪はよくわかった。それも踏まえ、ほぼすべての情報を検討した結果、ベストな911は、できるだけ削ぎ落とした、ただし何も足さないわけではない仕様だという結論に落ち着いた。
ベーシックなカレラは気に入ったが、7速MTとPASMスポーツが設定されないので、カレラSが理想的なベース車ということになる。そう、やはり3ペダルでないとはじまらない。992ほど有能で臨機応変なクルマなら、より一体感を味わいたいではないか。