【世界初仕様を体感】アクセルリング手動走行 マツダの「モノづくり」再確認

公開 : 2021.02.28 05:45

乗車から「手動運転」開始の手順

では、MX-30セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークルに乗り込んでみよう。手順を追って説明する。

マツダが開発中の総重量約6kgの車いすで、車両に近づく。

マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)
マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)

運転席側のフロントドアを全開にする。運転席とドアの間に設置された、アクセスボードを出して、車いすからそこへ移動する。

後席ドアのロックを手動で解除する。ドアの内側に内臓された専用スイッチで後席を自動で開く。

車いすを、座面部分と本体部分にわけて、体を右側にひねるかたちで後席に入れる。ここにフリースタイルドアの利点がいかされている。後席の汚れ予防のシートは装着済み。

アクセスボードから運手席に移動してボードを収納する。ダッシュボード右下に内蔵された専用スイッチで後席を自動で閉めてからロックボタンを押す。

「手動運転」の操作としては、シフターの左側に位置する手動ブレーキを奥まで押し込み起動ボタンを押す。するとステアリングの内側にあるアクセルリングの操作が可能となる。

日本ではレバー式のアクセル操作機能が多いが、欧州ではアクセルリング式が主流だ。

走行する際は、シフターでDレンジに入れて、手動ブレーキを解除。アクセルリングを軽く押すとクリープ状態のように低速で動き出す。

では、マツダR&Dセンター横浜の構内を走行してみよう。

走るとまさに「人馬一体」

マツダ側のアドバイスは「ハンドル操作は、(いわゆる)おくりハンドルが良い」とのこと。

たしかに、アクセルリング操作を併用すると、おくりハンドルの方が扱いやすい。手動ブレーキの加減もつかみやすい。後退での駐車、狭い場所でのUターンなど試しながら、運転のこつがつかめてきた。

マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)
マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)

手動ブレーキは、センターコンソールのカップホルダーを利用した専用の肘あてを使い、左肘を支点として操作するので、左手はさほど疲れない。

直線路では30km/hほどまで加速させたが、低速走行から2段階で変わる加速領域はシームレスで違和感はない。

手動運転でもクルマどドライバーの一体感をしっかりと感じ取れて、気持ちが楽だ。

セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークルの最大の特長は、一般の運転操作へ切り替えができることだ。フットブレーキを踏んで起動させる。

こうした切り替えが簡単にできる量産車は、自動車メーカーとして世界初となる。

発売は2021年秋頃を目指す。価格については今回は未発表だったが、政府や地方自治体からの各種補助制度などを使うと、ユーザーが負担する総額としてはベースモデルとあまり変わらない可能性がある。

今回の構内試乗、マツダのモノづくりを再確認する良き機会となった。

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