【なぜ?】「三角窓」消えたワケ 「カーエアコン大衆化」のほかにも……

公開 : 2021.03.03 05:45  更新 : 2021.10.09 23:42

カーエアコン標準装備まで20年?

「見栄えの良さ」が、「三角窓廃止の理由」と考える理由は、カーエアコンが普及するまでのタイムラグにある。

カーエアコンが、どのクルマにも標準装備されるのは1990年代以降のこと。

日産シルビア(S13型は80年代後半に登場。「デートカー」の代表格)
日産シルビア(S13型は80年代後半に登場。「デートカー」の代表格)    日産

つまり、三角窓が廃止される1970年から数えると、20年以上も後になる。実際のところ、1970年代だけでなく、1980年代になってもカーエアコンは高級品であったのだ。

財力のあるユーザーが使う高級車ならいざ知らず、若者が乗るようなエントリーカーでは、「エアコンなし」というのは珍しいものではなかった。

そうした「エアコンなし」のクルマは、当然、夏場は暑さに苦しむことになる。車内にあるブロアーで外気を導入するよりも、三角窓で外の風を取り込んだ方が涼しいのだ。

つまり、エントリーカーには、まだまだ三角窓のニーズは残っていたのだ。

しかし、現実には三角窓が復活することはなかった。

当時の若者は、「涼しい風」よりも「見栄えの良さ」が重要であったのだろう。

まあ、そのころのクルマは、いまよりも「デートカー」という用途が大きかった。それも三角窓の消えた遠因になったはずだ。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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