【大胆にイメージチェンジ】ヴォグゾール(オペル)・モッカへ試乗 優れた総合力
公開 : 2021.03.07 08:25
ドライバーを包むような大きなモニター
インテリアで主張が強いのが、オペルが「ピュアパネル」と呼ぶ2面のモニター。運転席側にラウンドし、ドライバー・フォーカスの雰囲気に仕立てている。
メーターパネルのモニターとインフォテインメント用のモニターが一体に見え、最近のメルセデス・ベンツのようだ。低グレードでは2面とも7インチだが、上級グレードでは12インチと10インチの組み合わせになる。
カスタマイズできる範囲は限定的で、表示はシャープながら特に高精細というわけでもない。しかし、これまでのオペルからすれば大きな前進。アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも標準対応だ。
センターコンソールにはエアコン用のボタン類が残され、操作しやすい。着座位置は適度に低く、すべての操作系は手に届きやすい範囲にある。
光沢の強いプラスティック製パネルが多く用いられ、素材や質感は充分。しかし、プレミアム感があるわけでもない。
観察はこのくらいにして走り出してみよう。1.2Lガソリンターボは、モッカのボディサイズに丁度いい。市街地では小気味よく速度を上げ、すぐ静かな回転に落ち着く。エンジンノイズも、急な加速時くらいしか目立たない。
8速ATは、ステアリングホイールのシフトパドルを弾いても、敏感に反応するわけではない。しかしフォルクスワーゲン・グループのものより、信号発進などの振る舞いは良い。一方、急加速を求めても積極的なキックダウンはしないようだった。
クロスオーバーとして総合的な実力は高い
ステアリングの操舵感は、コンパクトカーのように軽い。市街地では運転しやすいものの、フロントタイヤのフィードバックはほとんどない。だがプジョー2008のように、アシストが強すぎると感じることはないだろう。
姿勢制御は、純EV版のモッカeと比べてタイト。300kgもある駆動用バッテリーがないことが貢献していると思われ、コーナーでもよく制御できている。
ただしダイナミックな走りを望むなら、コンパクト・クロスオーバーというカテゴリーの中では、フォード・プーマの方が勝ると思う。
乗り心地は硬めながら、バランスの良い落ち着いた質感には驚かされた。管理の悪い舗装や荒れた路面を走行しても、車内へ伝わる振動は最小限。大きなわだちや隆起部分を越えた時も、プジョーよりしなやかに感じた。
純EV版のモッカeとは異なり、ガソリンエンジン版のコンパクト・クロスオーバーには競合が多い。このモッカも印象は良いものの、それ以上の魅力を備えるモデルは存在する。その筆頭は、英国ではフォード・プーマ。
しかし装備や実用性、価格、スタイリングなど、ヴォグゾール(オペル)・モッカの備える総合的な実力は高い。クロスオーバーの場合、走りが優先順位の一番上に来ることは多くない。多くのユーザーにとって、モッカは強く惹かれる存在となるだろう。
ヴォグゾール(オペル)・モッカ(英国仕様)のスペック
価格:2万7450ポンド(395万円)
全長:4151mm
全幅:1791mm
全高:1532mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:16.7-17.0km/L
CO2排出量:133-137g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.3kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック