【モーターでも】マツダMX-30 EVで体感 電動化時代の「人馬一体」
公開 : 2021.03.06 05:45 更新 : 2021.03.07 00:16
エンジン車と比較しても……
MX-30 EVの試乗後に、エンジンを搭載した通常のMX-30のハンドルを握った。
そこで気づいたのが、エンジン車よりもEVモデルの方が、思いどおりの加減速ができることだ。
ほんの微妙なアクセルの踏み始めのレスポンスとトルクの出かたが、EVモデルの方が気持ちにフィットする。以前にエンジン車に乗ったときは、決してレスポンスが悪いとは思わなかった。しかし、EVモデルの試乗後すぐに比較すると、その差を感じることができたのだ。
また、最近のマツダ車はGVC(Gベクタリング・コントロール)という機能を搭載している。これはハンドル操作にあわせてエンジン出力を調整し、タイヤにかかる荷重を最適にするというもの。
しっかりとタイヤに荷重がかかるため、ドライバーの思いどおりのクルマの動きを演出する。その機能がEVモデルでは、さらに効果的に発揮できるという。
具体的にいえば、エンジン車では制御できないアクセルオフの状態でも、EVモデルであれば回生ブレーキを使って荷重をコントロールできる。
そのため、走行シーンのより広範囲でGVC機能を使えるのだ。マツダはEVモデルの機能を「e-GCVプラス」と呼ぶ。
実際にMX-30 EVに試乗すると「ハンドルの戻りがガソリン車よりも強いな」と思うときがたびたびあった。これがGVCの効果の差のようであった。
電動化しても運転する楽しさ健在
総じていえば、MX-30 EVの運転は、非常に楽しいものであった。
それも速さを楽しむのではなく、クルマを意のままに操る楽しさ。つまり、「人馬一体」そのものであったのだ。
そこで思い出すのが、以前にマツダのロードスターの開発者に「EVになったらロードスターがつまらなくなるのか」と尋ねたときのことだ。
世の中がすべて環境対応車になって、電動車、そしてEVに切り替わってしまう未来。そこで、マツダのロードスターはどうなってしまうのだろうか。もしや、なくなってしまうのかと心配したのだ。
しかし、ロードスターの開発者は、さも当然のように「パワートレインがエンジンでもモーターでもロードスターが提供するのは、同じ人馬一体の走り」と答えたのだ。
今回のMX-30 EVの走りは、そうしたロードスター開発者の答えを裏づけするものであったのだ。
電動化がどれほど進もうとも、マツダが「人馬一体」の走りを志向している限りは、走る楽しさはいつまでも手に入るということ。何とも喜ばしい試乗となったのだ。