【カネではなく実力で勝負】フィル・ハンソン ル・マン優勝の実力とは 英国のゴールデン・ボーイ

公開 : 2021.02.28 08:05

英国出身21歳のフィル・ハンソンは、耐久レースで大活躍の若手レーサー。世間に実力を見せつけられるのか。

広く知られるべき若手ドライバー

56レース。フィル・ハンソンがモータースポーツの頂点に到達するまでに必要だったのは、それだけだ。英国のバークシャー州出身のこの若者は、カートの世界では後発組で、5年前にスポーツカーの世界に飛び込んだ。

21歳という若さにして、すでに4回のル・マン24時間レースに出場しているベテランドライバーである。2020年には彼の所属するユナイテッド・オートスポーツが、2020年シーズンのLMP2クラスの優勝者となった。

フィル・ハンソン
フィル・ハンソン

これは、2つのシリーズでチャンピオンを獲得し、ル・マンでも優勝して世界の注目を集めているハンソンにとっても、かなりの出世と言えるだろう。

ヨークシャー州を拠点とするユナイテッド・オートスポーツは、マクラーレンのF1代表であるザック・ブラウンと経験豊富なレーサーであるリチャード・ディーンが共同オーナーで、昨年の春にパンデミックの影響でモータースポーツが停止するまでは絶好調だった。7月に最初のロックダウンが解除されると、チームは再び軌道に乗り始めた。

ハンソンはその後、WECとELMSの両レースに出場し、8つの耐久レースで5回の優勝を果たしている。ルイス・ハミルトンは2020年のF1で記録的な成功を収め、トヨタのマイク・コンウェイはLMP1で世界耐久チャンピオンになったが、同じ英国人としてはハンソンが世界に与えたインパクトの方が大きいのではないか。彼はもっと知られるべきだ。

「レースを休んだことでハングリーになった」とハンソンは言う。

「準備とハードワークが鍵を握っていた。オレカのシャシー(競争力の低いリジェから切り替えた)を使った最初の年だったから、それまではいろいろな意味でハンディキャップを背負っていたけど、今回は自分たちのポテンシャルをフルに発揮することができた」

「隔離期間中のチーム、エンジニア、ドライバーの舞台裏での作業は他の誰よりも素晴らしかったから、多くの人達にショックを与えることができたんだ」

先輩の経験を積極的に吸収

ル・マン開催日は従来の6月から9月に延期された。しかし、たとえ25万人もの観客がいなくても、ハンソンの勝利は非常に重要なものになっただろう。

「年の初めには、WECとル・マン、どちらで勝ちたいかを自問自答するんだ。両方を選ぼうとは思わないよ。ル・マンは一年で最も大きなレースで、多くの人が世界選手権よりも重要だと言っているけど、ピンポイントで選ぶのは難しいね」

フィル・ハンソン
フィル・ハンソン

「ル・マンには運(luck)の要素があって、1回のレースで起こりうることがとても多いんだ。一方で、チャンピオンシップではチームの中で運命(fortune)のようなものが形成されてくるんだよ」

ユナイテッドでは、元フォース・インディアF1ドライバーのポール・ディ・レスタや、WECとELMSの両方で活躍している元アウディLMP1レーサーのフィリペ・アルバカーキといった、経験豊富なドライバーたちとチームを組んでいるのもハンソンにとって助けとなる。

「自分のキャリアの中で、多くのことを成し遂げてきたドライバーたちと戦うのは良いことだ。僕との違いを見て、スポーツ界最高の選手たちがどのようなものなのかを知ることができたし、自分のパフォーマンスの最後の詰めをどうすべきなのかを理解することができたんだ」

「彼らは僕よりも15年も長く運転しているからね。でも、彼らがミーティングでヒントやフィードバックをくれているから、僕は早送りできるんだ。僕は今、そのすべてを吸収しようとしている」

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