【新戦略を探れ】2025年に向けて トーヨータイヤ「中計’21」が示す道筋は?
公開 : 2021.03.01 06:45 更新 : 2021.03.05 21:31
近年イメージを刷新しつつあるトーヨータイヤ。2月には新たな中期計画を発表。タフなオフロードがよく似合うブランドは、どこに向かうのでしょう。
ラフロードが似合うブランドに
トーヨータイヤは、兵庫県伊丹市に本社を構える、タイヤを中心とした自動車部品などのメーカーだ。
かつての社名は「東洋ゴム工業」だったが、2019年に、よりタイヤ事業にシフトすることを主眼に「トーヨータイヤ」に社名を変更した。ちなみに、社名の英字表記は「TOYO TIRE」だが、ブランドのロゴは「TOYO TIRES」となっている。
タイヤ製品名としては、快適性を重視した「プロクセス」、ミニバン向けの「トランパス」、低燃費タイヤの「ナノエナジー」、SUVやクロスカントリー4WD用の「オープンカントリー」、そしてスタッドレスの「オブザーブ」などが知られている。
また、日系タイヤメーカーの参入が続くオールシーズンタイヤ市場には「セルシアス」を導入。軽からミニバン/SUVまでを対象に、19サイズをラインナップする。
最近では製品展開をSUV指向にふっており、またラリーやドリフトなどのモータースポーツにおける活躍も注目されている。
OPEN COUNTRYを拡充
そんなトーヨータイヤの新たな主力ブランドとなっているのが、前述のSUV用タイヤ「オープンカントリー(OPEN COUNTRY)」シリーズだ。
世界で最も過酷なオフロードレースといわれる「バハ1000」などの国際レースに継続参戦し、その経験によって得られた知見を商品開発にフィードバックしている。
「オープンカントリー」シリーズは、大型SUV車両が抜きん出て普及している北米市場で高く評価され、日本市場でも2016年に「オープンカントリーR/T」から同ブランドの導入を開始した。
日本国内でのSUVの新車販売台数は年々増加しており、人気が高まっている。トーヨータイヤでは、SUV市場の拡大に合わせ、「オープンカントリー」シリーズのサイズ拡充。
2月には、前述のオン・オフ性能を両立したオープンカントリーR/T、悪路走破に長けた同M/Tの新サイズを追加する。
日本では、戦略的な販売促進の展開などにもより、2020年のSUV用タイヤの販売本数は2016年比で20%増加。
SUV用タイヤの販売本数における構成は、北米比率が38%、売上換算で57%となっており、当面は「オープンカントリー」シリーズを中心としたSUV用タイヤにウエイトが置かれるようだ。
2025年に向けて 新中期経営計画
2021年2月25日に、トーヨータイヤは新中期経営計画「中計’21」を発表した。
これは、2025年に向けて「第二の創業」(これに関しては後述する)を機とした、新・グローバル戦略による企業価値の増大が目的であるという。
全社的には、技術/生産/販売の3分野で計画を立て、その効果的連動を実現し、成長戦略を牽引する経営基盤の構築と人材強化を図っていく。その結果、従来まで取り組んできた企業ステージから、新たな企業ステージへのステップアップを目指すというものだ。
それぞれの分野では、どのような計画があるのか。
技術分野では、前中計期間中に確立した日・米・欧のグローバルR&D 3極体制での連携を図ることで、高機能設計力/顧客志向商品力/次世代技術開発力を重要な差別化技術として掲げ、これら3分野を重点的に強化していく。
生産分野では、2022年4月にはセルビアの工場を稼働し、欧州での地産地消や米国への供給などを行い、日本工場や米国工場と合わせてグローバルでバランスが取れた高効率な生産体制を確立する。
販売分野では、公道実験でモデルを高度化させ、これまで知りえなかったユーザーのタイヤ使用状況の把握とモジュール技術を活用し、嗜好性の高いユーザー向けのニーズや使用環境にマッチしたカスタマイズ商品の提案を両立していく。