【新戦略を探れ】2025年に向けて トーヨータイヤ「中計’21」が示す道筋は?
公開 : 2021.03.01 06:45 更新 : 2021.03.05 21:31
日・米の成長戦略
今後の展開としては、日本ではSUVなど伸長するカテゴリーを視野に、「オープンカントリー」シリーズのような趣向性の高い商品をはじめ、静粛性・耐摩耗性を兼ね備えた高機能商品などを意識的に開発、投入する計画だ。
並行して、「大胆なハード再編」と「DX(デジタル・トランスフォーメーション)によるソフト改革」を掲げ、販売体制を新しく抜本的に変革し、固定費を大幅に削減。
それとともに、デジタルを活用した営業の高度化、営業基盤の変革により、重点商品の販売比率を向上させていく。
北米市場では、圧倒的なブランドプレゼンス(存在感)を持つワイドライトトラック用タイヤの増販はもちろん、桑名工場の能力増強をフル活用したトラック・バス用タイヤの積極的な増販、また、オールシーズンタイヤなど新しい需要の開拓など、強みを磨き上げた差別化商品群を継続、重点的に投下していく。
三菱商事と提携
前述のようにトーヨータイヤは2019年1月に社名を変更した。タイヤと自動車部品を事業の中核に据え、自動車産業の一角を担っていく姿勢を打ち出し、2019年を「第二の創業」の年としている。
同年8月には「新たな企業ステージに向けた成長戦略」を発表し、三菱商事との資本業務提携を機とした協業施策の方向性を披露した。
今回の新中期経営計画では、トーヨータイヤの価値向上が両社の使命となる体制を構築し、提携による効果で100億円の収益を目指していくという。
具体的には、採算面や効果創出速度の観点から、まずは日本市場とアジア市場に注力。
日本市場では、1000以上の生産財タイヤユーザーのリストアップが完了し、2021年よりターゲットを設定して拡販活動を本格化していく。
アジア市場では、SUV用タイヤのビジネス機会の増大や小売店舗の陳列棚の確保など、新車用・市販用タイヤの販路拡大に向けた取り組みを開始る。増資資金を活用した増産プロジェクトは順調に進捗しており、稼働を開始した設備は、収益に貢献している。
セルビア工場も、計画どおりに2022年に稼働を開始することで、営業利益40億円以上の押し上げになると確信しているという。
日本市場においては、ブリヂストン、ダンロップ(住友ゴム)、そして横浜ゴムに次ぐ地位にあるトーヨータイヤ。「青を灯せ」というコーポレートメッセージで「挑戦心」や「内なる情熱」を表現しているが、ブランドステートメントである「まだ、走ったことのない道へ。」のごとく、これからの挑戦と展開に期待したい。