【まだ手に届くアナログ体験】ポルシェ911(964型) 英国版中古車ガイド ATも悪くない
公開 : 2021.03.09 08:25 更新 : 2021.07.12 18:45
不具合を起こしやすいポイント
ボディ
オリジナル状態の964の方が価値は高い。ターボやRS風のボディキットが付いているカレラは、選ばない方が良いだろう。
フロントガラスやリアガラスの底辺は錆びやすいものの、それ以前の911より耐久性はある。ポルシェで施されたアンダーシールは効果的だったが、新車時のままなら一度剥がして再処理してもいい。特にフェンダーの内側は。
カブリオレの場合、フード周りの劣化で雨漏りすることがある。修理は高額になりがちだ。
エンジン
ロッカーカバーやタイミングチェーン・カバーからのオイル滲みは想定内。しかし一定の量が漏れ続けている場合、エンジンのリビルトや再シールが必要になるだろう。
2基のディストリビューターは、切れることもあるベルトでリンクされている。ここに不具合が起きると、内部損傷を招くことも。予めベルトの確認はしておきたい。
エンジンヘッドのスタッドボルトの状態にも注意。折れると、高額の修理費につながる可能性がある。
サスペンションとステアリング
角の丸い乗り心地は高い評価を得ていたが、現代の911と比較すれば硬く感じられるだろう。振動が大きい場合、ブッシュ類が寿命かもしれない。あるいは、ダンパー交換が必要かも。
フロント側の車高は高めだったこともあり、多くのクルマは車高が落とされ、ハンドリングを改善させている。パワーステアリングはリザーバーとポンプの間のゴム製シールから漏れる場合がある。ユニットを外したら、すべてのOリングを交換したい。
電装系
ABSの不具合は四輪駆動の964では一般的。高価なコントロールユニットの交換を決断する前に、トランスミッション・トンネル内にある加速度計の接続や、配線の状態を確認した方がいい。
エアコンの不具合も一般的。コントロールユニットは高価なので、予め試乗で送風温度を確かめておきたい。
専門家の意見を聞いてみる
アドリアン・クロフォード ウイリアムズ・クロフォード代表
「964を探すなら、事前にしっかり情報を集めて、直近の整備記録などを中心に確認しておきたいですね。定期的なメンテナンス以上の、賢明なアップグレードは良い状態を示すサインでもあります」
「多くの人が、最低限のメンテナンスだけで乗っているようです。それでも、整備記録は充分として売りに出されます。最近の主要な整備内容から、販売店が964のことを理解しているかどうかも確かめた方が良いでしょう」