【より安いMTがイイ】キア・ピカント1.0 DPi AMTへ英国試乗 5速セミATにヒトコト
公開 : 2021.03.18 08:25
MTを選びたくなる変速タイミング
そもそも、ピカントはシティーカーだ。軽快でコンパクトなパッケージは、都市部の道路環境でよく機能する。低速での運転は安楽。大きな窓のおかげで視認性に優れ、小さなボディながら運転する不安感は小さくて済む。
さほど必要性は高くないかもしれないが、バックカメラもオプションで設定可能。駐車時に後方の様子をきれいに映し出してくれる。
ツギハギの多い都市部の舗装でも、乗り心地は穏やか。アスファルトが隆起したような部分を通過すると衝撃が伝わってくるが、ほどよく角は丸めてくれる。
しかし、5速セミATの変速マナーは良くない。加速時はシフトアップのたびに頭が揺さぶられ、速度上昇が小休止。変速時に戸惑うことも多く、1速では数秒ほど、シフトアップが遅れるようにも感じられた。
その間、エンジンの回転数は不必要に上昇し、大きな変速ショックにつながってしまう。もう少しタイミング良く設定することはできなかったのだろうか。英国で販売されるピカントのうち、7割以上がMTであることもうなずける。
今回の試乗では、安価なMTを載せたピカントも短時間ながら運転できた。キビキビとショートレシオが操れて、エンジンの限られたパワーを効率よく引き出せる。はるかに運転しやすく、都市部の道路でも楽しいと感じさせてくれる組み合わせだった。
エントリーグレードに近い方が良い
5速セミATが組み合わされた、3のピカント1.0 DPiの英国価格は1万4665ポンド(211万円)から。これは、より優れた完成度を備えた、ひと回り大きいコンパクトモデルにも並ぶ価格となってしまう。オススメしにくいといわざるを得ない。
エントリーグレードに近いピカントなら、価格価値での魅力度が増してくる。さらに5速セミATより700ポンド(10万円)安いMTを選択すれば、より楽しい運転体験を得ることができる。
キア・ピカントならインフォテインメント・システムも安価な方で充分。USBケーブルを接続すれば、手持ちのスマートフォンで多くの機能はまかなえるだろう。
キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)のスペック
英国価格:1万4665ポンド(211万円)
全長:3595mm
全幅:1595mm
全高:1485mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:16.6秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:119g/km
車両重量:977kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:67ps
最大トルク:13.2kg-m
ギアボックス:5速セミ・オートマティック