【短くなる冬場の航続距離】ホンダe アドバンス(3)長期テスト 寒くても魅力は不変
公開 : 2021.03.20 09:45 更新 : 2021.07.14 07:34
見た目や走りなど、魅力たっぷりの小さな電気自動車、ホンダe。航続距離の短い純EVと一緒の暮らしはどんなものなのか、長期テストで英国編集部が確かめます。
もくじ
ー積算4630km 半分近くになる冬場の航続距離
ー積算5006km ドアロックの不調
ー積算5328km 純EVの長所と短所
ー気温に大きく影響を受ける航続距離
ー大きくなるホンダeへ乗る喜び
ーテストデータ
積算4630km 半分近くになる冬場の航続距離
まだ寒い日は続く。エアコンは全開。シートヒーターとステアリングホイールのヒーターも欠かせない。
薄暗いからライトを付け、ラジオを選局し、雨まじりならワイパーをオンにする。この状態で表示された航続距離は、満充電で98km。車内の温度が上がれば若干伸びるものの、夏場では160kmくらい走れるのに冬場は半分程度に短くなる。
積算5006km ドアロックの不調
前回、筆者が長期テスト車で不具合に遭遇したのは、レンジローバー・ヴェラール。格納式のドアハンドルにまつわるものだった。
今回はホンダe。助手席側のドアロックが、システム起動後に何度も繰り返し作動するようになってしまった。キーで集中ドアロックをかければ止まる。ホンダによれば、アクチュエータの不良だという。
積算5328km 純EVの長所と短所
われわれは今、成長する電気自動車を学ぶ段階にいる。AUTOCARの読者なら、長所と短所は大まかに理解されていることだろう。先行してオーナーになった人と同様に。その中で、短所はさほど多くない。
学び取るべき内容の1つに、航続距離の特性がある。ホンダeの場合、200kmの航続距離が得られるのはベスト・コンディションの時。1年の中で温かい数か月程度。英国では夏場に限定される。
気温に大きく影響を受ける航続距離
ホンダeが英国編集部にやってきた当初、英国は熱波に見舞われていた。筆者が注意深くアクセルを扱い、回生ブレーキの効きを最大にした状態で、200kmの航続距離に接近できた。
ところが冬場は、満充電でも110kmを下回ることがしばしば。エアコンにシートヒーター、ステアリングホイールやドアミラーのヒーター、ライトとワイパー、ラジオもオンの状態ではあるが。
純EVは、夏場の航続距離だけで判断はできない。条件の悪い、冬場の性能を考慮して選ぶ必要がある。英国の冬は特に長くて寒いから、その性能の重要度合いも高い。
ガソリンエンジンのクルマと異なり、純EVのエネルギー効率と航続距離は、走行時の気温で大きな影響を受ける。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のEVモードも同様だ。
筆者が以前試乗したPHEVのBMW 330eも、EVモードで夏場は48km程度の距離を走れたが、冬場は32kmを下回っていた。純EVのオペル・コルサeも、夏場は約320kmを一度の充電で走れるが、冬場は160km程度に短くなってしまう。
ホンダeでは、ベスト・コンディションで200kmに届くかどうか。冬場の航続距離の低下は、より深刻な問題になるだろう。ちなみにバッテリーの充電量は、どんなに充電しても99%とメーターパネルに表示されるようだ。
ただしホンダeは、デザインや技術、プロダクトとしての魅力で選ばれるタイプのクルマ。多くの場合、セカンドカーとして迎え入れられるはず。ホンダeの航続距離に関して、筆者はあまり深く考えないことにした。