【スーパーチャージドV8で549ps】ジャガーFペイス SVRへ試乗 EVブランド化前の傑作
公開 : 2021.03.11 08:25
ジャガー製SUVとして、最後の内燃エンジン・モデルになる可能性を持つFペイス。最速のSVRは素晴らしい仕上がりのようです。英国編集部が評価しました。
プロジェクト8譲りの8速ATを搭載
ジャガーの開発拠点がある英国中部のウォリックシャーで、Fペイス SVRを借り出した。そのまま、動的特性の設定が煮詰められたコッツウォルズの道を目指す。
SVRはかなりイイ。今回は英国ならではの特権かもしれない。
ジャガーは2014年にスーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンを載せたFペイスを発表して以来、SUVの開発の手を緩めなかったようだ。実際、かなり見事に仕立てられている。
通常のFペイスに続いて、SVRが投入されたのは2019年。まだ最近のことではあるが、Fペイス全体のアップデートに合わせて、SVRにも変更が加えられた。
マイナーチェンジとしては細かな内容が多いものの、項目は少なくない。ボンネットが新しくなり、開口部の造形が一新され、フロントグリルも大きくなった。ブレーキ系を含めて、冷却機能も向上している。
ブレーキディスクの直径は395mmで変わらない。でも、ブレーキパッドは新しい。
V8エンジンも基本は変わらないものの、スポーツサルーンのXE プロジェクト8にへ載されるトルクコンバーター式の8速ATを採用。段数を問わず、71.2kg-mの最大トルクを引き出すことが可能となった。
空力特性も見直され、0-100km/h加速は従来の4.1秒から4.0秒へ短縮されている。大きなボディのSUVとしては、かなり速い部類だと思う。
細部を煮詰めたサスペンション
改良で特筆したいのが、ダイナミックな特性を向上させながら、角の丸められた乗り心地を獲得したサスペンション。SVRを、より熟成されたモデルに感じさせる。
アダプティブ・ダンパーやアンチロールバー、スプリングレートは変わらない。だがブッシュ類は70%が新しいという。リアのトーリンク、フロントのコントロールアーム・リンクなども新しい。表には見えないが、乗れば違いが分かる。
Fペイスは、ほとんどがアルミニウムで構成されるジャガー製の後輪駆動用モジュラー・プラットフォームをベースとする。センターデフと、リア側に電子制御のリミテッドスリップ・デフを装備する四輪駆動だ。
コンフォート・モードでは、通常70%のトルクがリアタイヤへ伝わる。状況に応じて可変するものの、ダイナミック・モードを選択すると後輪の割合は90%へ増加される。
スノー/アイス・モードを選択しても、前後の駆動力配分は50:50。基本的に、滑りやすい路面でも前輪には最大で50%しか駆動力が伝わらない。
この四輪駆動システムを、新しいFペイスではインフォテインメント・システムを介してコントロールできるようになった。ナビやラジオと同様に。
インフォテインメント・システムなどの電子技術は、ジャガー製の純EVと共有。最新のランドローバー・ディフェンダーと同じく、応答性や機能性、使いやすさをライバル以上に高めている。