【ノート/レヴォーグ要注意】セットオプションがあるワケ 賢く買うには?

公開 : 2021.03.10 05:45  更新 : 2021.10.22 10:12

ノート「プロパイロット」は割高?

日産ノートにもセットオプションが多い。

とくに運転支援機能の「プロパイロット」は、Xのみにセットオプションで装着できる。「プロパイロット」のほかに、カーナビ、液晶ルームミラー、後方の並走車両を検知する安全装備などが組みあわせられ、セットオプション価格は42万200円に達する。

日産ノート
日産ノート    日産

ノートの「プロパイロット」はカーナビ情報と連動させ、作動中にカーブが近づいた時など、先行車がいなくても自動的に速度を下げて安定して曲がる。

そのためにカーナビとセットオプションになるのは仕方ないが、液晶ルームミラーまで加えて、42万200円というのは少々割高だろう。

ちなみに同様のセットオプションで、「プロパイロット」だけを除いたタイプもあり、この価格は34万8700円だ。つまり「プロパイロット」の正味価格は、42万200円から34万8700円を引いた7万1500円になる。これがいろいろな装備とセットになるから42万200円に達した。「アイサイトX」も含めて、運転支援機能は、セットオプションによって価格を高めている。

ノートでは、LEDヘッドランプも、アダプティブ機能(ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を防ぐ機能)とあわせて9万9000円のオプションになる。

車両価格や「プロパイロット」を含むセットオプション価格を加えると、総額は270万6000円だ。Xの車両価格(218万6800円)に比べると、メーカーオプションに50万円以上も費やすことになってしまう。

そのために「プロパイロット」は注目度の高い装備なのに、装着比率は41%と低い。「アイサイトX」は90%を超える。価格が200万円台のノートと300万円を超えるレヴォーグでは、同じ高額なセットオプションでも受け取られ方がちがう。

このほかトヨタライズもセットオプションが多く、ディスプレイオーディオは、10~15万円の上乗せになる。

セットオプションはメーカー都合

セットオプションが多い理由は、メーカーの受注や生産の流れを簡略化するためだ。

セットオプションを採用せずに単品装着を可能にすると、装備の組みあわせパターンが大幅に増えてしまう。

ホンダ・フィット
ホンダフィット    ホンダ

例えば2000年代に発売された三菱のコルトやグランディスは、全車に標準装着される装備以外を自由に選べる「カスタマーフリーショイス」を採用した。

コルトで上級エンジンとなる1.5Lを選びながら、タコメーターなどを装着せずに、内装を質素に仕上げることも可能だった。この時の装備の組みあわせ総数は、数億とおりと説明された。

つまりオプション装備を自由に選べると、メーカーにとって面倒が生じるため、オプションを抱き合わせで装着するセットオプションが普及した。

現行のホンダ・フィットが、ベーシック/ホーム/ネス/クロスター/リュクスと5グレードをそろえた理由も同じだ。

従来型に比べてグレード数は増えたが、メーカーオプションの選択肢は減っている。いずれもメーカーの都合を優先させた結果だ。

ディーラーOP/特別仕様車を活用

セットオプションで価格が高まるのを避けたい場合、冒頭で述べたディーラーオプションを有効活用する方法がある。

ノートであれば、「プロパイロット」は諦めて、グレードは法人向けに用意されるS(202万9500円)を選ぶ。

日産ノート
日産ノート

そしてLEDヘッドランプや後方の並走車両を検知する安全装備を組みあわせたセットオプション(24万5300円)、ディーラーオプションのカーナビ(14万8000円)を加えると約240万円におさまる。

「プロパイロット」を装着する場合に比べて約30万円安い。カーナビがディーラーオプションなら、多少は値引きの上乗せも期待できる。

そして今後、ノートに関しては、「プロパイロット」などの必要な装備を厳選して価格を割安に抑えた特別仕様車の「プロパイロット・エディション」を設定するだろう。

特別仕様車にはメーカーオプションの選択肢を設けないことが多く、装備の組みあわせを徹底的に抑えることで、価格も割安にできる。

そのためにコンパクトカーでは特別仕様車の人気が高く、ノートもそれを用意するわけだ。

メーカーの都合を優先させたセットオプションが増えると、ユーザーも購入時にいろいろと工夫をせねばならない。そこを割安感で補うのが特別仕様車ともいえるだろう。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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