【動的性能x実用性能】メルセデスAMG E 53 ステーションワゴンへ試乗 マイルドHV 前編
公開 : 2021.03.13 08:25
直列6気筒、435psのマイルドHVとなるEの53。V8エンジンを積む63ほど圧倒されるパワーはないものの、角の取れた扱いやすさを英国編集部は評価します。
直6ツインターボ+電動スーチャー+ISG
メルセデス・ベンツEクラスのフェイスリフトに合わせて、メルセデスAMGのEクラスも変更を受けた。今回はその中から、中辛に当たるE 53を試してみたい。大辛のE 63はスパイシーで味わい深いが、少し懐への負担が大きい。
約3年前、電圧48Vのマイルド・ハイブリッド(HV)としてAMGに仲間入りしたE 53。低回転域のレスポンスを向上するため、ツインターボエンジンは電動スーパーチャージャーで加給される。さらにスターター・ジェネレーター(ISG)も組み合わされる。
アッファルターバッハの伝家の宝刀、V8エンジンから大胆な一歩を踏み出していた。それから3年後、AMGのショールームに並ぶマイルドHVは大幅に拡大されている。
53という番号の振られたモデルは、今のAMGにとって欠くことのできない存在になっている。先進的な技術という点でも、E 63より試乗対象として適しているだろう。
モデルライフ中期として与えられたフェイスリフトにより、通常のEクラスと同じ内容をE 53も獲得している。ボディの見た目やインテリアの設えだけでなく、動的性能に幅を持たせるため、ソフトウェアも見直しされた。
以前メルセデスAMGを率いていたトビアス・ムアースによれば、従来のE 53より「長距離走行時の快適性と動的性能との幅を、さらに広げた」という。今はアストン マーティンのCEOに就いた彼が残した、最後の言葉の1つだ。
黒で統一されるナイトエディション
E 53が搭載するガソリン・マイルドHVの内容に変更はない。直列6気筒ツインターボの最高出力は435ps、最大トルクは52.9kg-mと、AMGとしては控えめな方。これに、電気モーターのアシストが加算される。トルクは最大で25.3kg-mが上乗せされる。
トランスミッションは、メルセデス・ベンツ製の従来的なトルクコンバーターを用いた9速AT。これにも改良を受けている。E 63Sが搭載するマルチクラッチ・タイプではない。リアデフも異なる。
サスペンションは3チャンバーを備えるアダプティブ・エアサスで、ハード的にはE 63と同じ。フェイスリフトで、従来までV8エンジン版に限定されていたAMGダイナミクスと呼ばれる知的なトラクション・コントロールも、実装されるようになった。
広報資料によると、オプションのAMGダイナミック・プラス・パッケージでは、レースとドリフトの2つのドライブモードが追加されたという。これも従来まではE 63だけの項目だった。
英国で提供されるメルセデスAMG E 53のスタイリングは、通常の仕立てのほかに「ナイトエディション」と呼ばれるブラックでコーディネートされたものが選べる。エグゼクティブ・モデルの間では、黒く統一するのが人気のようだ。
試乗したE 53もナイトエディション。フロントスプリッターやドアミラーカバー、ウインドウモール、マフラーカッター、ルーフレールなど、通常は明るいクロームで仕上げられる部分が黒く塗られている。悪びれた見た目を演出するように。