BMW 435i ラグジュアリー・コンバーチブル
公開 : 2014.01.23 21:30 更新 : 2017.05.29 17:59
■どんなクルマ?
BMWが贈るミドルレンジの新型車、4シリーズ・カブリオレ。今回テストするのは、そのトップ・モデル435iである。
陽の光を浴びてたたずむオープントップの姿を目の当たりにすると、この4シリーズのエレガントで気品あふれるスタイリングに目を細めてしまう。
それにもかかわらず、このクルマに欠けているのは人を驚かせる魅力である。先代3シリーズからの進化版(そう呼ぶに値するなら)となるこのクルマには、目新しさが欠けているのだ。
20kgの軽量化、40%ものねじれ剛性の強化、ホイールベースの50mmの拡大、軽快感のあるエンジン特性、外部ネットワークとの接続性向上、こうしたものが先代3シリーズ・カブリオレからの主な改良点である。言ってしまえば、ささやかな改良に過ぎないのだ。それにしても4シリーズと銘打つなら、焼き直しではなくしっかりとしたベース・モデルが与えられるべきだった。
■どんな感じ?
いいニュースをまず最初に。このクルマではゆったりと快適なオープン・エアー・ドライビングを楽しめる。ウィンド・ディフレクターとサイド・ウィンドウを立てれば、このストレート・シックスは勢い良く回転を上げクルージングを楽しませてくれるのだ。ただ、最高出力306psのエンジンにしては高揚感に欠けるところがる。いまいましい車重と、当然ながらドライブ・トレインに改良が望まれる。
広くなったコクピットは前席にゆったりとしたスペースを与えている。後席は必要十分なサイズで、出来のいい革張りシートが備わるのだがいくぶん直立し過ぎている。実用的な装備を説明すると、ウィンド・ディフレクター用の収納スペースが後席の背もたれを倒した所に用意されている。またトランクを開くと、畳まれたルーフを上方向に持ち上げる機能が用意されている。これは、トランク内でいくぶん不安定に吊り下げられたルーフと骨組みが、ボタン操作により持ち上げられ、荷物の出し入れがスムーズになるというものだ。このトランクにはルーフを収納した状態でも220ℓの収納容量がある。その他にも強力なネック・ウォーマーが備わり、天井の内張りは効果的な吸音性ルーフ・ライニングが採用されている。
一方でステアリング・フィールは435iの大きな問題点である。ルーフを閉じていようが開いていようが、このBMWは負荷がかかると常に不安定になる傾向がある。ステアリングは、ドライバーが意を決してコーナーに飛び込むまであやふやなフィーリングが残り、わずかだが扱いづらさもある。こうした二つの問題点は、控えめに言ってもいらいらさせられるものだ。
■「買い」か?
BMWは4シリーズ・カブリオレに、クーペ・モデルに匹敵する洗練された動力性能を与えたかったのだろう。残念なことに、結果はかけ離れたものになってしまった。ステアリングの問題と、ルーフを畳んだときの振動は、大きな欠陥ではないかもしれない。しかし、そういったものが重なることで、スタイリッシュな外見であるはずのこのクルマは、期待倒れのスポーツ・カブリオレに成り下がってしまったのだ。
(リチャード・ブレムナー)
BMW 435i ラグジュアリー・コンバーチブル
価格 | £46,520(806万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 5.5秒 |
燃費 | 12.4km/ℓ |
CO2排出量 | 176g/km |
乾燥重量 | 1740kg |
エンジン | 直列6気筒2929ccターボ |
最高出力 | 302ps/5800-6000rpm |
最大トルク | 40.8kg-m/1200-5000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |