【自動運転新時代】レベル3「ホンダ・レジェンド」1100万円/100台限定 存在意義とは?
公開 : 2021.03.08 05:45
開発担当者の表現する「レベル3の壁」?
開発担当者は、レベル3の壁と表現した。レベル2とレベル3はまったく別物という意味だ。
このレベルだが、ホンダが会見で使用した図表では自動運転ではなく、「運転自動化」のレベルの定義という表現した。
そのうえで、レベル1とレベル2は運転支援であり「操舵の主体」は「ドライバー」。
一方、レベル3、レベル4、そしてレベル5は自動運転で「操舵の主体」は「(クルマの)システム」と記載している。
つまり、レベル3を実現するためには、システムに対して極めて高い安全性が求められ、仮にシステムのトラブルが生じれば、ホンダは訴訟に直面したりブランドが傷つくリスクがある。
それでもトヨタやスバルなどより先に世界初のレベル3を量産した経緯について、筆者が開発担当者に質問したところ、開発担当者は「ウサギと亀」を例えに出して次のように答えた。
「(以前は)ホンダは比較的(自動運転開発で一般的に)遅れていると思われていた。それが2020年に高速道路でのレベル3実現に向けたステートメントを出した」
「そもそもホンダには安全性と信頼性を愚直に追求しようとする企業風土があり、結果的にウサギを超えていた」
レベル3の研究開発での実走行距離は累計130万kmにおよび、ホンダは安全性と信頼性を「論証してきた」という。
Nボックスはいつレベル3に?
さて、発表された新型レジェンドの価格だが、通常モデルのメーカー希望小売価格は724万9000円に対して、なんとその1.5倍の1100万円に達する。
販売方法は、限定100台のリース販売となる。
そのうえで、商談時には技術や操作方法などの丁寧な説明を心掛け、また特定整備認証におけるアフターサービスを徹底する。
開発担当者は、今後の自動運転レベル3の普及について「今日がまず第1歩だ。日本市場で社会(の全体)が、またユーザーがどう捉えるのか、(慎重に)見極めながら、今後の事業計画を立てていきたい」と説明した。
また筆者は、この会見をNボックスのなかで視聴しており「Nボックスがレベル3になるのはいつごろだと(個人的に)思うか?」と聞いたところ……。
「自動運転には故障があっても大丈夫なように、冗長性が求められ(Nボックスが採用しているホンダセンシングのような)運転支援とは設計がちがう」
「Nボックスでは……」
「10年、20年度には(レベル3に対応する)そうした時代が来て欲しいと思う」と少し困ったような表情で答えてくれた。
レベル3という本格的な自動運転が軽自動車まで広く普及していくかどうかは、ホンダが指摘するように、ユーザーがレベル3をどう思い、社会全体でどう取り入れていくのかにかかっている。