【キッチンカー】コロナで注目 ダイハツ仕掛ける新ビジネスとは?
公開 : 2021.03.22 05:45 更新 : 2021.06.04 16:02
新たなインハウス事業になる?
特装車について、さらに視野を広げると、市販車をベースとしたレーシングカーや、競技用パーツを組み込んだ分野もあり、それが自動車メーカーのインハウス(資本下)となった事例が、スバルのSTIやメルセデス・ベンツのメルセデスAMGだといえる。
こうした流れで考えると、キッチンカーなどの特装車を軽自動車を生産する自動車メーカーが手掛けることも今後あり得るはずだ。
さらにいえば、車両製造者としてだけではなく、ハウス食品グループがおこなったような一気通貫したサービス事業を自動車メーカーが構築することも考えられる。
そうした中で注目されるのが、最近のダイハツの動きだ。
ダイハツ本社によると、中期経営計画「Dチャレンジ2025」の中で「モノづくり」と「コトづくり」との融合を打ち出しており、その一環としてハイゼット・トラックの荷台にさまざまな用途での「空間施設」を置き、全国3か所で実証試験をおこなっている。
1つは、三重県いなべ市での「モバイル・ヒュッテ」だ。事業主体である「グリーンクリエイティブいなべ」によると、「動く町」をテーマとしてキャンプなど施設での飲食店や物販、また名古屋の都市部での移動「マルシェ」を実施するという。
ダイハツへの大きな期待
2つ目の事例が、新潟県妙高市の「モバイルワークステーション」。
こちらは、ワーケーションを想定した「動くオフィス」だ。くわしくは現地での実体験レポート記事を参照願いたい。
本件のねらいについて、妙高市企画政策課未来プロジェクトグループ主査の柴田潤一氏から直接話を聞いた。
柴田氏によると、基本案は産学官関係者による「みょうこう未来会議」で生まれたアイディアで、同会議に参画するダイハツ、NTTドコモなどが連携して、発案から2か月という短期間でプレス発表をおこなった。
主な目的は、首都圏からの観光客や事業従事者などの関係人口を増やすことだ。
妙高高原など観光地へは自家用車への移動が多く、電車での来訪者に対するバスなどの2次交通網が弱いため、移動手段の確保も兼ね備えて「動くオフィス」としたという。
この周辺は、妙高戸隠連山国立公園であり、域内に新たな施設を整備するために法定な規制があるため、「動くオフィス」や「動く部屋」の利便性が高いという側面もある。
そして3つ目の事例として、香川県小豆島での「バンライフ」としての車中泊向けの仕立てもある。
こうした各種実証を踏まえて、ダイハツにはハウス食品グループが実現したような総合的なサービスプラットフォームの実用化を期待したいところだ。