【ソフトトップへ回帰】BMW M440i xドライブ・カブリオレへ試乗 洗練のクルージング
公開 : 2021.03.19 08:25
オープンで上質なクルージングを楽しむ
今回試乗したのは、ターボ過給される3.0L直列6気筒エンジンに電圧48Vのマイルド・ハイブリッド(HV)を採用したM440i xドライブ・カブリオレ。最高出力は374ps、最大トルクは1900rpmから50.9kg-mを発揮する。
トランスミッションは、滑らかで素早い変速を叶える8速AT。条件によっては高回転域まで活用でき、シャープなアクセルレスポンスで力強い中間加速を引き出せる。
カブリオレらしく、穏やかなハーフスロットル時のクルージングは上質そのもの。先代よりフロントシート周りの空間も広く、リアシート側も直立気味ながら充分快適。極めて洗練された走りを味わえる。
フロントシート直後にウインドブロッカーを立て、サイドウインドウを上げておけば、オープンでも96km/hくらいまでは風の巻は込みも最小限。とても心地良く運転できる。
カブリオレ化するために補強が施され、同じエンジンを積むM440i xドライブ・クーペより車重は150kgも重い。比べれば動的性能が低められているとはいえ、0-100km/h加速は4.9秒でこなし、最高速度は249km/hでリミッターがかかる。
クーペよりステアリングのダイレクト感が弱まり、平滑ではない路面を通過するとわずかにボディは振動。ボディ剛性の低下を感じる場面はあるものの、楽しさは変わらない。
スポーツ・モードを選択すれば、相当にシャープなハンドリングを得ている。グリップ力やトラクションも、四輪駆動のおかげで優秀だ。
BMWのミドル・コンバーチブルを再設定
タイヤサイズは、フロントが225/40で、リアが255/35の19インチ。Mスポーツ・サスペンションが装備され車高は落ちていたが、オプションのアダプティブ・ダンパーが備わり、乗り心地もとても良かった。
サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式、リアがマルチリンク式。わだちや舗装が剥がれた場所を通過すると振動は避けきれないが、基本的に揺れは丸め込まれている。市街地などでは、コンフォート・モードが良いだろう。
BMWのミドルサイズ・コンバーチブルを再設定したといえる、新しい4シリーズ。ファブリック・ルーフを獲得し、ルックスの魅力度は従来より増している。ひと回り大きくなったボディで、先代から実用性も引き上げられた。
BMWは、4シリーズ・クーペに近いドライビング体験をカブリオレでも得られると主張する。確かに従来より、クーペに接近した印象は筆者も受けた。
不足ない速さと快適性を兼ね備える、M440i xドライブ・カブリオレの英国価格は5万9645ポンド(864万円)から。ただし、パワーでは劣る後輪駆動の420iや420dの方が、ベターチョイスとなる可能性はある。価格も安い。
BMW 4シリーズ M440i xドライブ・カブリオレ(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万9645ポンド(864万円)
全長:4768mm
全幅:1852mm
全高:1384mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:11.9-12.8km/L
CO2排出量:177-192g/km
車両重量:1890kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:374ps/5500-6500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック