【2代目サンク・ターボに乗る】ルノー5 GTターボへ試乗 元祖ホットハッチを再確認 前編
公開 : 2021.03.22 08:25
記憶の中ほど速くは感じられない
もっとも、たまの週末に乗られるだけのようなクラシックカーとして見ても、製造品質は褒められたものではない。筆者も正直、心もとない。
かつて、ルノー5に乗っていて事故にあったことがある。対向車のBMW 5シリーズがこちらの車線へ飛び出してきたのだ。ルノー5は直前に急停止したが、リアシート側のルーフを残しナイフで切られたように潰れてしまった。
もしほかに誰かが乗っていたら、と思うとゾッとする。BMWは、衝撃の弱さからエアバックすら開かなかったらしい。ドライバーが、居眠りから目を冷ましただけ。
今でも5 GTターボが残ってるということに、思わず興奮してしまう。しかし運転し始めると、5 GTターボに何を見ていたのか少し疑問も抱いてしまった。
想像以上に、記憶の中ほど速く感じられない。「心地よい速さ」という表現が妥当かもしれないが、そう感じるのもレブカウンターが3000rpmを超え、ターボブースト計の針が反応した時のみ。
フロントに収まるのは、プッシュロッド式の1.4L 4気筒ターボ。このユニットの設計が始まったのは、1950年代と古い。
5 GTターボが新車だった頃は、コンパクト・ハッチバックの中で一番すばしっこかった。今の感覚では、ほどほどに活発といった程度だ。
そんな複雑な気持ちのまま、ワインディングに進む。そこでシャシーを充分に機能させると、素晴らしいことを再確認する。思わず、オーマイゴッド、と口にしてしまった。
この続きは後編にて。