シトロエン・グランドC4ピカソ e-HDi 115 エクスクルーシブ

公開 : 2014.01.24 21:15  更新 : 2021.03.05 21:44

■どんなクルマ?

シトロエンの新型車、グランドC4ピカソ。そのラインナップでトップセールスを期待されるのがこのクルマだ。

シトロエンの最新型7シーター・ミニバンは、先代よりも全長を長くして、車高を下げ、全幅は狭くなっている。そしてそのボディは、フランスのメーカーが胸を張るEMP2プラットフォームに架装されている。彼らの話によると、このプラットフォームは約110kgの軽量化を実現しただけでなく、シャシー全体の設計をより強固なものにすることができたという。

また、エンジンの搭載位置を低くしフロアを低床化することが可能となり、これまでより広い車内空間を生み出すことができたという。これにより、5人分のシートがある状態でも632ℓのラゲッジ・スペースを確保し、2列目のシートを前方に押し出すことでそれを793ℓまで広げることができる。

2,3列目のシートを畳むとラゲッジ・スペースはフルフラットになり、収納容量は2,181ℓへと跳ね上がる。この値は、われわれが現在のミニバン市場においてクラス・リーダーと評価しているフォード・S-MAXより10%ほど多いものである。

■どんな感じ?

とにかく広い、これが第一印象だ。それにキャビンは明るく開放感のあるものだ。これは真上に広がる大型パノラマ・サンルーフによる効果でもある。

3列目のシートはフロア下に収納可能で、2列目のシートを前方に押し倒すかまとめて取り外すことでラゲッジ・スペースを拡大できる。2列目のシートには大人二人が広々と過ごせるスペースがあるのだが、ここに3人が肩を並べ長時間移動するのは耐え難いものだろう。この種のミドルサイズのミニバンでは一般的な欠点である。

前席の空間には不満は全くない。運転席も助手席も座り心地は快適で、一新されたインテリアは鮮烈な印象を残すものだ。

ただし下層グレードに設定されるモノクロ・ディスプレーは避け、代わりにフルHDカラー・ディスプレーを選ぶのが懸命だ。そうすればダッシュボード中央に備わる情報エンターテイメント・システムはこのクルマの魅力にプラス・アルファーをもたらすだろう。

デュアル・ディスプレー・レイアウトは、一般的なものに慣れたドライバーには邪魔に感じるかもしれない。しかし、搭載されるナビゲーション・システムは操作メニューとレイアウトがうまく設計されており操作は簡単である。

われわれがテストしたe-HDi 115ディーゼル・エンジンは、3種類あるディーゼル・エンジンのうち真ん中のグレードとなる。この下にはe-HDi 90 エアードリーム・エンジンが用意され、これは最高出力が92psながらCO2排出量が98g/km、燃料消費率が26.3km/ℓという注目すべき数値を記録している。

150psを発生する最上級グレードのブルーHDi 150は、ユーロ6排出ガス規制に対応しており、SCR(選択還元型触媒)システムも搭載している。

今回のクルマに搭載される、115psを発生するe-HDi 115は、パワーと静粛性を備えたエンジンである。ノイズのキャビンへの侵入は最小限に抑えられ、アイドリング時に1.6ℓエンジンから発生される振動を感じるだけなのだ。このエンジンは、回転の全域にわたって機械的に有用な変更が施されており、素晴らしい力強さを味わうことができる。

われわれのテストカーには6段マニュアル・トランスミッションが搭載されていたが、マニュアル操作可能なオートマティック・トランスミッションも用意されている。マニュアル仕様のギアリングは望ましい配置で、われわれのテストカーでは1、2速のシフト操作にギクシャクしてしまう感じはなかった。

ステアリングが少し軽いと思う人もいるだろうが、スピードの高まりとともに重さは増してくる。われわれは路面からのフィードバックがもっと多いものを好むが、最新の電動式パワーステアリングでは一般的にこうした不満を感じさせるものが多い。

スピードを上げると、驚くほどのウィンド・ノイズがAピラーとサイドミラー周辺から発生する。ただし、煩わしいというレベルのものではない。

新しいプラットフォームであるEMP2の真価は、グランドC4ピカソの走りの性能に現れる。改良による先代モデルとの違いは歴然としているのだ。先代はコーナリング中に突然よろめいたり横揺れを発生したものだが、新型のグランドC4ピカソでは安定したままコーナーを抜けることができる。

乗り心地も満足できるもので、われわれのテストカーに装着された18インチタイヤによる悪影響は感じられなかった。

■「買い」か?

最新型シトロエン・グランドC4ピカソが、ミニバン市場における注目株であるのは間違いない。

それでは、S-Maxからトップの座を奪えるほど優れているかというと、それは違うのだ。なぜならフォードのミニバンでは、ドライバーが素晴らしい走りに関与でき、クルマとの対話を楽しめるのだ。この点はピカソよりも依然として優れている。

しかし、シトロエンは車内環境と走りのレベルアップという大進化を遂げた。これにより、明るく開放感あふれるピカソには、洗練されたスタイリングと多くの魅力が備わったのである。

シトロエン・グランドC4ピカソは、クラストップに王手をかけているわけではない。それでも王座を争う強敵と呼ぶには相応しい存在だ。

(ダレン・モス)

シトロエン・グランドC4ピカソ e-HDi 115 エクスクルーシブ

価格 £23,255(400万円)
最高速度 188km/h
0-100km/h加速 12.1秒
燃費 25.0km/ℓ
CO2排出量 105g/km
乾燥重量 1320kg
エンジン 直列4気筒1560ccターボ・ディーゼル
最高出力 114ps/3600rpm
最大トルク 16.5kg-m/1750rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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