【ローンチ時は最大646ps】アウディRS eトロンGTへ試乗 タイカンと基礎を共有
公開 : 2021.03.17 08:25 更新 : 2021.11.11 13:20
アウディらしい性格付けを感じ取れる
どのドライブモードでも、ポルシェとは異なる性格付けが与えられていると感じた。パフォーマンス以外で。冒頭の考えに答えが見えた。
動的な部分は、大きな違いを与えにくい。電気モーターは、モーターらしく回転しパワーを生み出す。サウンドは人工的に味付けしてあるものの、アウディとポルシェとを差別化させているほどではない。
RS eトロンGTの車重は2347kgもあるが、弾けるように走る。0-100km/h加速は3.3秒でこなす。
パワーは、完璧と呼べるほど滑らかで静かに湧出される。特に鋭い加速を求めた場合は、リアモーター側のトランスミッションが、1速を選択する場合もある。タイカンのように。
ステアリングホイールに取り付けられた左側のパドルで、アクセルペダルを放した時の回生ブレーキの強さを調整できる。だが、ブレーキペダルを使わないワンペダル・ドライブはできず、少し残念だ。
デフォルトの減速感は良いと思う。惰性走行でき、エンジンを載せたAT車のようにも感じられる。できるだけ従来のアウディ製モデルと違和感ないように、RS eトロンGTの性格付けを与えたのだろう。
だが、ポルシェのように感じるアウディなのか、アウディのように仕立てたポルシェなのか厳密に突き詰めてみる。ポルシェ度合いの方が高いと思う。
ステアリングフィールは、間違いなくアウディらしい。直進状態からの切り初めの軽さや、ダイレクト感が備わっている。タイカンにはない遠隔感は、アウディらしさのために与えられたようだ。
タイカンと同じくらい気に入った
操縦性はタイカンほどの訴求力ではないものの、落ち着きがあり安心感は高い。安定していて直進性に優れる。操舵時の労力も少なくて済む。ブランド間の幅が広くあるということは、素晴らしいと思う。
乗り心地も、アウディらしく引き締まった感覚がベースにある。タイヤは21インチで、フロントが265/30、リアが305/30というサイズも影響しているだろう。タイカンよりしなやかだ。
ドライビング体験としては、エンジンを積んだRSシリーズに近い印象も受けた。同時に、大きな違いも存在している。純EVとして避けられない、車重にも関係している。
重心が低く、重量物がクルマの中心に固まっているため、自信を持って進行方向を変えていける。リアモーターは、コーナー出口めがけて力強く真っ直ぐクルマを押し出してくれる。アウディR8にはない感覚で、とても好印象だ。
一方で、アウディRS6と通常のA6との差ほど、RS eトロンGTと通常のeトロンGTとの違いはないかもしれない。特に電気モーターの振る舞いは、RSが付かないeトロンGTにも似ている。
筆者はRS eトロンGTを、タイカンと同じくらい気に入った。ドライビングの魅力度は薄いかもしれないが、もっと乗りたい特別な感覚を備えている。
最後に、いくつかの数字を確認しよう。RS eトロンGTは、DC急速充電器で最大270kWまで、AC充電器なら11kWまでの容量で充電できる。純EVの検討材料になると思う。
アウディRS eトロンGTの英国価格は、11万950ポンド(1608万円)から。オプションを選び始めたら、金額は一気に増えるだろう。
アウディRS eトロンGT(欧州仕様)のスペック
価格:11万950ポンド(1608万円)
全長:4989mm
全幅:1964mm
全高:1413mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.3秒
航続距離:455km
CO2排出量:−
車両重量:2347kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:83.7kWhリチウムイオン
最高出力:598ps/646ps(オーバーブースト時)
最大トルク:84.4kg-m(オーバーブースト時)
ギアボックス:−