【なぜ新車級?】ニスモがレストア R32スカイラインGT-R、BHオークションに

公開 : 2021.03.09 06:25  更新 : 2021.10.11 09:41

GT-Rを知り尽くす「NISMO」が完璧にレストアしたR32スカイラインGT-Rプロトタイプが、国内オークションに登場します。一見の価値ありです。

ニスモレストアとは

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(ニスモ)は、2020年12月からスカイラインGT-R(R32、R33、R34)のレストアを行う「ニスモ・レストアドカー」プログラムを開始した。

この活動を評価したのが、日本車を良好なコンディションで後世へ残す取組みをしているBHオークション。ニスモとプロモーション・パートナーとして手を取り合うことになった。

ニスモ・レストアドカーのR32スカイラインGT-Rプロトタイプ
ニスモ・レストアドカーのR32スカイラインGT-Rプロトタイプ    上野和秀

一般レベルでのレストアは、視覚的に綺麗にするという意味合いだ。

しかし、本来は塗装をすべて落としたホワイトボディの状態にして、痛んだ部分を修復。メカニカルパートも新車時のコンディションに復元するもので、膨大な手間と知識、技術が必要とされる。

そして、ニスモが定義するレストア施工は、「性能を可視化する」という新たな概念で行われる。新車当時の性能に戻すこと事を目的としたもので、様々な手法、技術、設備、施設を駆使できるニスモでしかできないレストアだ。

新車性能に戻す その作業とは

ボディ(モノコック)については総合的な性能を確保するため、はじめにニスモ基準での捩り剛性測定と、寸法測定を伴う修復を実施。

それから、劣化値の修正がなされた良好なバランスのもとで確認を行っていく流れだ。

R32スカイラインGT-Rプロトタイプのエンジンルーム
R32スカイラインGT-Rプロトタイプのエンジンルーム    上野和秀

エンジンは全分解してオーバーホールとバランス取りをした後、ベンチ台上でラッピングと性能測定を行い、新車時の性能を確認して搭載。このほか、駆動系や制動系は、オーバーホールと消耗劣化部品の交換、塗装を行う。

こうした作業のあと、完成検査としてシャシー・ダイナモで性能を確認。

その後に、ニスモのテストドライバーまたはプロドライバーによるチェック走行を経てようやく納車となる。

なお施工証明として、エンジンルームにシリアルナンバーが打刻された専用のプレートが取付けられるという。

このほか各工程の写真やチェックリストを収めたドキュメント・ファイルが付帯される。

予想落札額 4500~5500万円

BHオークションでは、こうしてニスモによりレストアされたR32スカイラインGT-Rのプロトタイプをオークションに出品する。

このオークションは本当に欲しいと考える方に向けたものだけに、特別プレビューに参加して現車を確認後に入札するシステムとなる。

R32スカイラインGT-Rプロトタイプの前席内装
R32スカイラインGT-Rプロトタイプの前席内装    上野和秀

ちなみに発表されている予想落札額は4500~5500万円で、最低落札額が設定されている。

額だけを見れば高いが、ベース車の高騰もあって、ニスモでのレストレーションに要する膨大な手間を考えれば、むしろバーゲンといえよう。

GT-Rにとって育ての親ともいえるニスモが蓄積した技術と、現代の先進テクノロジーにより新車当時以上のクオリティを備えるに至ったR32スカイラインGT-Rレストアドカーのプロトタイプ。

新たな試みを評価するオークションだけに、その結果に注目したい。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事