【NA V12にスーパーキャパシタ】ランボルギーニ・シアンFKP 37へ試乗 限定63台 歴代最強の785ps

公開 : 2021.03.10 08:25

獰猛なエンジンと見事なサウンド

当初ランボルギーニは、イタリアの風光明媚なエリアでの試乗を計画していたが、コロナウイルスの影響で中止に。結果として運転したのは、英国ベッドフォードシャー州のミルブルック自動車試験場になってしまった。雨上がりの午後に。

といっても、特別な環境でなくてもシアンを目にすれば気分は自ずと高揚する。インテリアは基本的にアヴェンタドールと同じデザインだが、豪華な新素材が用いられ、ダッシュボード中央には縦長のタッチモニターがレイアウトされている。

ランボルギーニ・シアンFKP 37(欧州仕様)
ランボルギーニ・シアンFKP 37(欧州仕様)

アルカンターラ張りの天井へ頭が付きそうな、頭上空間の狭さも変わらない。ヘルメット着用が指定されなくてよかった。

エンジンをスタートさせると、シアンは怒鳴りたてるように目を覚ます。ハイブリッドでも、スーパーカーだから静かに発進するとは限らない。むしろ高回転域まで吹け上がるV型12気筒の獰猛さに、今の時代がゆえに一層うれしくなる。

出だしからアヴェンタドールより勢いが良い。モーターの助力でクラッチ接続も滑らかになっているが、走行中の車内は常に騒がしい。振動も隠さない。

シアンの動的性能は甚大。モーターのアシストは、高めのギアを選んだ時の低回転域で感取できる。でも、V12エンジンへガソリンを送り込めば、そのアシストはすぐに感じなくなる。

サウンドも凄まじい。アヴェンタドールSVJより音質は低く、ボリュームは大きい。レブリミット手前の1000rpmを切った辺りから、排気音は見事なハーモニーへ転調。アクセルオフで、アフターファイヤーの破裂音が響く。

言葉にできないほどの存在感

試乗したミルブルックの円形コースには、209km/hの制限速度がある。設定が低く感じられて仕方なかった。だが、タイトなカーブが連続する丘陵コースも走ったが、シアンにぴったりという印象は受けなかった。

全幅は2100mmを超え、運転席からの視界は悪い。実際以上に道幅は狭く感じられてしまう。コースは部分的に水浸しで、アクセルペダルを踏み込む機会は限られたが、少なくともグリップ力が見事なことは確認できた。

ランボルギーニ・シアンFKP 37(欧州仕様)
ランボルギーニ・シアンFKP 37(欧州仕様)

低速コーナーでは、ハイパーカーらしくないアンダーステアの予兆も。後輪操舵が標準装備でも、軽くない車重を振り回すことの難しさは、シアンでも変わらないようだ。しかしダイナミックモードに関わらず、シャシーは丘陵コースへ苦もなく順応できていた。

シアンと最も相性が良かったのは、高速コース。ステアリングホイールの操舵感は軽いものの、負荷の増大とともにフィードバックも高まる。

試乗環境は限られていたが、アヴェンタドールよりシアンの方が、運転した感覚はより生のクルマに近いといえる。一方で、印象的なまでに磨き込まれたSVJより良いともいえないだろう。

何より、シアンでわれわれを驚かせるのは、モーターショーのコンセプトカーが実際に姿を表したということ。ハイブリッドのV型12気筒が生む体験は、シアン以外で味わうことは難しい。

価格は呆れるほど高い。スタイリングも衝撃的。ベースとするのは、発表から時間の過ぎたスーパーカーだ。だがその存在感も、言葉にできないほど凄まじい。

ランボルギーニ・シアンFKP 37(欧州仕様)のスペック

価格:250万ポンド(3億6250万円)
全長:4980mm
全幅:2101mm
全高:1133mm
最高速度:349km/h
0-100km/h加速:2.8秒(予想)
燃費:4.3km/L
CO2排出量:447g/km
乾燥重量:1600kg
パワートレイン:V型12気筒6498cc自然吸気+スーパーキャパシタ
使用燃料:ガソリン
最高出力:785ps/8500rpm+33ps
最大トルク:70.7kg-m+3.5kg-m
ギアボックス:7速セミ・オートマティック

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