【詳細データテスト】トヨタGRヤリス 文句なく速い 俊敏ながら高い安定性 最高のドライバーズカー
公開 : 2021.03.13 20:25 更新 : 2021.04.18 22:34
各方面で絶賛されるGRヤリスは、オートカーが厳しくチェックしても、非の打ちどころをほぼ見つけられません。ハンドリングがいいのにスタビリティも高く、速さもクラス水準を大きく凌ぎます。満点のドライバーズカーです。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★★
ー内装 ★★★★★★★★☆☆
ー走り ★★★★★★★★★★
ー使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★★★
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★★★
はじめに
登場した時から大成しそうだと思えるクルマは珍しいが、トヨタGRヤリスはそんなレアケースに数えられる。
2020年、個性的なハイエンドモデルはほかにも登場したが、この比較的手頃な価格でロケットのような日本製コンパクトハッチほど、ひとびとの垂涎の的となったものはなかったといえる。
実際、2019年にGRヤリスの存在が話題になりはじめてから、新たな情報が流れるたびに、この4WDパフォーマンスマシンの登場を見逃すまいとする熱い期待は高まり続けた。
どうしてそうなったか、その理由はわかりやすい。これは事実上、この20年ほどの間にトヨタが独力でゼロから開発したはじめてのパフォーマンスカーだからだ。それも、また本腰を入れるようになったモータースポーツ、そして世界ラリー選手権(WRC)での成功におけるノウハウを用いて造られている。
またこのクルマは、トヨタ・ガズーレーシングのWRCティームが2021年に走らせるラリーカーのホモロゲーションモデルとして開発されたという背景もある。そのため、開発にはトミ・マキネンをはじめ、クリス・ミークやオット・タナック、ヤリ-マティ・ラトバラといった錚々たる面子が重要な役割を果たしているのだ。
残念ながら、パンデミック絡みの混乱のあおりを受け、競技車両の今季の参戦は見送られた。となれば、トヨタとしてはGRヤリスをお蔵入りにすることもできたわけだ。しかし豊田章男社長は、ラリーカー計画が凍結されても、市販車には日の目を見せるという主張を通した。
その決断は、じつに歓迎すべきものだった。というのも、GRヤリスは、昨年の発売から続いている、怒涛の快進撃も驚くことではないと思えるほどの傑作だからだ。
まず、英国での初試乗時のレビューで、われわれは最高点を与えた。その後に開催したお手頃ドライバーズカー決定戦ではライバルたちを打ち倒し、はるかにパワフルで高価なスーパーカーとも対決する英国ベスト・ドライバーズカー選手権に進出。そこでも並み居る強豪を抑え、みごと3位に食い込んだのだ。
そして今回、おそらくは今の世代でもっともエキサイティングなホットハッチが、ロードテストの場で厳密なチェックを受ける。期待値は高いが、はたしてGRヤリスは、これまで獲得してきた数多くの称賛に、満点の栄誉を加えることができるのだろうか。