オペル・メリーバ 1.6 CDTI エコフレックス
公開 : 2014.01.25 19:00 更新 : 2017.05.29 18:30
■どんなクルマ?
2010年の発売以来、この2代目のオペル・メリーバは、ヨーロッパのGMの中では明るい話題を残してきた。というのも、実用性と低いランニング・コストを武器に約400,000台のセールスを記録しているのだ。
ただし、年々タフになってくるこのマーケットにおいて、より強い競争力を持つために、メリーバは新しい1.6ℓコモン・ディーゼル・ターボ・エンジンを採用したのだ。これは、昨年後半にザフィーラに搭載されたものである。
この新しいディーゼル・ユニットは、これまでの1.7ℓのCDTIに変わるもので、修正された6速マニュアル、または6速オートマティックがオプションとして組み合わせられる。パワーは134bhp、トルクは32.4kg-mで、前の1.7CDTIよりも5bhp、2.1kg-m大きい値となった。また、燃費も3.8km/ℓ改善され22.7km/ℓとなっている。同時にCO2排出量は139g/kmから116g/kmになったことで、英国での道路税は年間£95(1.6万円)も安くなっている。
69bhpの1.3CDTIと108bhpの1.7CDTIも暫くの間販売は続けられる。しかし、これも26.2km/ℓの燃費と99g/kmのCO2排出量を持つものに交換されることとなっている。
一方、ガソリン・エンジンは、EU6に迎合した1.4ℓ4気筒がアップグレードされている。パワーは73bhp、87bhp、102bhpの3つのチューニングが用意される。
あなたがよっぽどのオペルのコンパクトMPVファンでもない限り、フェイスリフトには気づかないだろう。それほどまでに微妙な変化しかない。フロント・エンドは最近マイナーチェンジを受けたインシグニアと似たロー・エンドの格子を持つバンパーになり、ヘッドランプとテールランプは形状が同じまま内部のグラフィクスが変更されている。オプションではLEDデイタイム・ランニング・ランプも提供されている。これがなければ、ほとんどフェイスリフト前との区別はつかないはずだ。
インテリアも非常に控えめな変更がされている。7インチのカラーモニターを持つインフォテーメント・システムが変更になり、オプションのインテリリンク・システムが強化されている。また、リア・ビュー・カメラなども採用されている。
■どんな感じ?
新しいディーゼル・エンジンはパンチも有り柔軟性にも富んでいる。メリーバ1.6 CDTIを日常使うには充分なパワー・ユニットだ。1000rpmからトルクを発揮し、リワークされた6速マニュアルとのマッチングも良い。これまでの1.7ℓディーゼルから大きく進歩しているのだ。
また、そのエンジン自体の静粛性も印象深い。4000rpmでクルージングしても、振動とは無縁で、リラックスしたドライブが楽しめるのだ。
メリーバは、いままでもスポーティなモデルではなかったし、今回のフェイスリフトにおいてもスポーティとはいえないクルマである。電気機械式のステアリングはダイレクトではあるばが、リアルなフィーリングが不足している。また、ヨーロッパの試乗では、ライバルのフォードBマックスに対してシャシーがパフォーマンス不足であるとも感じだ。サスペンションが変更されたにもかかわらず、低速での走行はドタバタしており、大きな衝撃はまともに伝えてしまう。また、ロード・ノイズとウィンド・ノイズも大きかった。
メリーバの最も競争力に欠けている部分は、そのインテリアのクオリティだろう。インストルメントは、メジャーなコントロールが低い位置に配置されなかなか愉しいレイアウトだが、プラスティックの品質が良くないと感じられた。
■「買い」か?
ダイナミックに光り輝くものはないが、メリーバは充分に魅力的なハッチバックであることに異論はない。特に新しい1.6ℓディーゼル・エンジンの出来は非常によかった。後に追加される108bhpバージョンは更に期待が持てそうだ。手頃な価格の優れた実用性のMPVを探しているのなら、候補になる1台であろう。
(グレッグ・ケーブル)
オペル・メリーバ 1.6 CDTI エコフレックス
価格 | £19,340(332万円) |
最高速度 | 196km/h |
0-100km/h加速 | 9.9秒 |
燃費 | 22.7km/ℓ |
CO2排出量 | 116g/km |
乾燥重量 | 1443kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 134bhp/3500rpm |
最大トルク | 32.4kg-m/2000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |