【新型車の開発は凍結】三菱自動車、ルノーからOEM供給 欧州で2車種販売へ
公開 : 2021.03.10 21:45
三菱はルノーからOEM供給を受け、2車種を欧州市場へ投入すると発表。エクリプスクロスも販売を継続します。
デザイン上でルノーと差別化か
三菱自動車は、アライアンスのパートナーであるルノーの2車種をベースにしたモデルを開発し、2023年から欧州市場へ投入すると発表した。ルノーからOEM供給を受ける形だ。
昨年、三菱が欧州での新車導入を中止すると発表して以来、同市場における三菱の立場は不透明になっていた。また、新たに開発される2車種は左ハンドルのみの販売となり、英国では販売されない。
ルノー車をベースにした2車種は「姉妹車(sister models)」と呼ばれており、プラットフォームやパワートレインはベース車両と同じだが、いくつかの「差別化」が図られているとのこと。どのモデルを販売するかは確定していないが、三菱はSUVのエクリプスクロスを引き続き欧州市場に投入する予定であり、同サイズのルノー・カジャーは候補から外れていると思われる。
三菱の加藤隆雄CEOは、次のように述べている。
「三菱自動車は欧州で構造改革を進めており、2020年7月に発表した中期経営計画では欧州市場向けの新車開発を凍結しています」
「しかし、今回のOEM供給契約により、欧州で開発・製造された新製品を、これまで通りのアフターサービス事業とともに提供することができるようになります」
新型アウトランダー投入の可能性も
三菱は昨年7月、収益性の高いアジア市場へのシフトのため、欧州市場への新型車投入を停止した。「スモール・バット・ビューティフル」という指針に基づき、2年間で固定費を20%削減し、「低利益事業の縮小による営業利益の改善」を計画していた。
最近、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は内部関係者の話として、三菱が欧州モデルの生産をフランスのルノー工場にシフトする可能性があると報じた。
ルノー・日産・三菱の3社は2月22日に予備的な合意に達したとされ、その後2月25に開催された三菱の取締役会で最終的な決定がなされた。FTは、この問題に関するアライアンスの協議は「不和的」と表現している。
三菱(日産が34%、ルノーが43%の株式を保有)の幹部は、フランスの政治がアライアンスの戦略に影響を及ぼすことを望んでいないと言われており、雇用を維持するために同政府(ルノーの15%を所有)からの圧力に負けたとの非難に直面する可能性がある。
英国市場への再参入の可能性について、三菱の広報担当者はSNSで、「コメントは差し控えさせていただきますが、年内にアフターセールスのみのビジネスに移行するという三菱の計画に変更はありません」と述べており、英国から撤退するという決定が覆ることはなさそうだ。
三菱の新型車が市場に再導入されれば、新型SUVのアウトランダーが、フランスで生産されているルノーの中核モデル数台とCMFプラットフォームを共有していることから、欧州で販売される可能性が出てくる。
現行のアウトランダーPHEVは、欧州で最も人気のあるプラグイン・ハイブリッド車の1つであり、最新型はライバルに奪われた地位を取り戻すことができるかもしれない。