【なぜ?】福祉車両でもNボックス売れてるワケ 「いつも自然体」キーワード
公開 : 2021.03.26 05:45 更新 : 2021.03.26 19:52
ホンダで1番、市場で1番
2021年2月時点で、ホンダの福祉車両モデルラインナップを見ると、車いす移動車(仕様車)は、Nボックス、フリード、ステップワゴンに設定されている。
また、後席のサイドリフトアップシート式と、助手席リフトアップシート式がフリード、ステップワゴン、オデッセイのそれぞれに設定。そのほか、助手席回転式シートが、フィット、Nワゴン、シャトルに設定がある。
こうしたホンダ車の中で、Nボックスの車いす移動車(仕様車)が最も売れているのだ。
一方、福祉車両市場の全体をみると、2012年度から2019年度まで福祉車両販売総数は4万台を少し切る程度でほぼ横ばいの状態が続いており、直近の2019年度では3万6809台だ(日本自動車工業会しらべ)。
内訳で最も多いのが「車いす移動車(登録車)」となり全体の38%、次いで「車いす椅子移動車(届出車・軽自動車)」が33%で、これら2つ合計が全体の7割を超えている。
そのほか、「昇降シート」が20%で、「助手席回転」や「運転補助装置」についてはそれぞれ数%程度にとどまっている。
こうした市場全体とホンダのラインナップを見比べてみると、福祉車両市場の中心である「車いす移動車」の中で、ホンダを代表する福祉車両であるNボックスの存在感が大きいことがわかる。
なぜNボックスが選ばれる?
福祉車両でもNボックス人気が高いことについて、ホンダの商品ブランド部・福祉事業課の担当者は「Nボックスがつくりたかったのは、家族のしあわせ。この思いは、標準車も福祉車両も同じだ」と表現する。
Nボックスの商品コンセプトは「日本の家族のしあわせのために」である。
その発想の中で、福祉車両を別枠での扱いとせず、例えば車内パッケージでは、フロントベンチシート仕様、助手席スーパースライド仕様、そしてスロープ仕様というさまざまな使い方を商品企画の時点で設定している。
デザインについても「福祉は特別なものではない」と捉える思想を基本に置いている。
また、ホンダが2019年に行ったユーザー調査では、スロープ仕様などNボックス福祉車両の日常での使い方について、全体の63%が「ほとんど普通のクルマとして使う」と答えており、「状況によりどちらも」(22%)、「ほとんど車いす仕様車として使う」(14%)を大きく上回る結果となった。
こうしてユーザーがいつも自然体で使えることが、Nボックスが福祉車両でも人気な理由だと思う。
さらに、2002年から実施し現在全国約400店舗まで拡大している、福祉車両に対する専門知識を持ったスタッフ配置など、ユーザーに対するサポート体制を強化した「オレンジディーラー制度」の効果も大きい。