【メーカーの思惑は?】リース料金3年1044万円 レベル3「レジェンド」の損得勘定
公開 : 2021.03.31 05:45 更新 : 2021.10.22 10:12
リース料金はクラウンと比べても……
レジェンド・ハイブリッドEXホンダ・センシング・エリートの価格は1100万円だが、リース専用車になっている。
ホンダカーズ(ホンダの販売店)では次のように説明された。
「リース車両だから、税金、自賠責保険料、メンテナンス費用などは、すべてリース料金に含まれる。リース期間は3年間(36か月)で固定され、期間を延長したり、リース期間満了後にユーザーが買い取ることはできない」
「リース料金は1か月当たり約29万円で、販売計画も100台限りとされている」
リース料金が1か月当たり29万円だから、3年間(36か月)なら1044万円だ。この金額を支払って、3年後には車両を返却する。リース料金は際立って高い。
例えばトヨタが実施している定額サービスの「キント」も、カーリースに含まれる。
クラウン2.5ハイブリッドRSの場合、価格は531万9000円で、キントでは月額9万6800円で借りられる。
この金額には、税金、自賠責保険料、任意保険保険料、メンテナンス費用などが含まれ、3年間(36か月)のリース料金を合計すると348万4800円だ。
つまりキントを使ってクラウンを3年間借りた場合、リース料金は車両価格の66%だが、レジェンド・ハイブリッドEXホンダ・センシング・エリートでは、前述のように車両価格が1100万円で、3年間のリース料金は1044万円だ。
3年間のリース料金は、車両価格の95%に達するから、クラウンの66%に比べて大幅に高い。
メーカー実は「売りたくない」?
3年間のリース料金が車両価格の95%に達する設定を販売店ではどのようにみているのか。ホンダカーズにあらためてたずねた。
「リース料金がきわめて高額だから、購入希望者はほとんどいない。その分、販売台数も100台と少ない。受注は4期に分けておこない、第1期は既に締め切られた。抽選はおこなわず申し込んだ順番で決めている」
受注はマンションのように分割しておこなわれ、価格が高い代わりに販売台数も少ないから、バランスが取れて奪いあいにはならない。
そしてリース専用車だから、1100万円という車両価格に、ユーザーから見た時の実質的な意味はない。税額を決めるために設定したようなものだ。
レジェンド・ハイブリッドEXホンダ・センシング・エリートの価値を決めるのは、1か月に約29万円、3年間で1044万円というリース料金になり、この金額こそが重要だ。
リース料金が高まった1番の理由は、限定生産とあって、量産効果が利かないためだ。将来的に役立つ技術だが、当面は開発費用をわずか100台で負担するから、1台当たりの金額が増えてしまった。
また自動運転レベル3という新しい領域に踏み込んだ車両だから、メーカーには「数多く売りたくない」思惑もあっただろう。
万一何か問題が生じた時に、販売台数が多いと、痛手も大きくなるからだ。
自動運転レベル3のトラフィックジャムパイロットを作動させている最中に、万一事故が発生した場合、その責任はドライバーにあるのか、それとも車両なのか。メーカーに尋ねると「個々の状況に応じて判断される」と返答された。
国土交通省は「事故の状況に応じて警察が判断する」と述べた。
自動運転レベル3には未知な部分も多く、実際に運行しながら解決策を見い出していく。
そのために販売計画を100台に絞り、最終的に車両を回収できる3年間のリースのみとして、高めのリース料金により「ツジツマ」をあわせたわけだ。