【フォーミュラE最強チーム】DS、電動レースに傾倒 ジャン=エリック・ベルニュが語る新シーズン
公開 : 2021.03.14 20:05 更新 : 2021.07.12 18:38
チームメイトとの共闘と競争
昨シーズン、DSがダブルタイトルを獲得した一方で、ベルニュ自身は1勝しか挙げられず、ドライバーズポイントでは3位に留まっていた。
シーズン後半の6レースは、ベルリンのテンペルホーフ空港で8日間にわたって行われた。フェリックス・ダ・コスタは、最初の2レースで勝利してポイントを稼ぎ、その後は激しい集団レースでトラブルに巻き込まれないようにすることに専念した。
ベルニュはトラブルには遭わなかったが、自分とチームの双方がエンジニアリングデータをよりよく共有できるように取り組んできたことを示唆しつつ、「2年連続でタイトルを獲得しても、下がるしかない」と、今年を振り返っている。
そのことが、彼のモチベーション向上につながるのだろうか?
「同じことが二度と起こらないように努力するよ。勝つとは言えないけど、自分なりにできる限りの変化を起こしていきたいと思っている」
また、モータースポーツの歴史でよく見られるような、チーム内でのバトルもチャンピオン2人の間で繰り広げられる。フェリックス・ダ・コスタとの関係について尋ねると、ベルニュはチームメイトが昨年に成し遂げた「素晴らしい仕事」に賛辞を送った。
「去年のベストドライバーがチームメイトであるというのは素晴らしいことだ。このような競争心を持つことは、チームにとっても良いことだと思う。彼はタイトルを守ろうとするけど、僕も彼からタイトルを奪おうとする」
「昨年のパンデミックで、人生にはもっと大きなことがあると気づかされ、レースに出られたことをとても幸運に思えたんだ。彼との友情が変わるわけではないよ。コース上でお互いに敬意を払っていること、それがチームメイトに求めるすべてさ」
2人の関係をラブストーリーと言えるかどうかはわからないが、この2人が共闘し続ける限り、DSはフォーミュラEとのラブストーリーを続けられるはずだ。しかし、ベルニュは、DSの継続的な取り組みだけで、今年限りでフォーミュラEとの決別を発表したメーカーに対して優位に立てるとは考えていない。
「DSが長期的に取り組んでいることはチームにとって素晴らしいことだけど、他のメーカーは僕らを打ち負かそうとするだろうね。たとえDSがフォーミュラEから撤退するとしても、勝つためにあらゆる努力をするはずだ。今年も非常にタイトな戦いになるだろう」
今年は誰が強いのか?
DSテチーターは、2人のチャンピオンを擁する最強のチームとしてシーズンをスタートさせるが、今年はさらなる競争激化が予想される。
ストフェル・バンドーンは、メルセデス・ベンツ初のフルワークスキャンペーンで2位に入賞しており、経験を積んだため、より安定して上位で戦えるはずだ。また、かつてのチャンピオン、セバスチャン・ブエミを擁するニッサンe.Damsの存在も大きい。
サム・バードがヴァージンからジャガーに、パスカル・ウェーレインがポルシェに、ジェイク・デニスがBMWに移籍するなど、ドライバーの移動が相次いでいる。しかし、アウディやBMWは今年限りで撤退するため、2021/22年シーズンのシートを探しているドライバーも少なくない。
サーキットから公道へ
フォーミュラEに参戦したすべてのメーカーは、自社のレースカーとロードカー(市販車)との関連性を強調してきたが、DSはそれをさらに一歩進めて、フォーミュラEの技術を使った2つのコンセプトを発表した。
2018年、DSは「X Eテンス」を製作した。これは、オープントップのスリルとゆったりとした快適性を両立するために設計された、左右非対称のコンセプトカーだ。フォーミュラEの1360psのツインモーターを搭載するなど、多くの機構を投入している。
同年にAUTOCARが試乗した際、スピードバンプやフランスの狭い町中では少々苦労したが、公道でも直感的なドライビングを楽しむことができた。
DSは昨年、最高出力680psの「エアロスポーツ・ラウンジ」を発表したが、これもフォーミュラE由来のパワートレインを搭載していた。空力的に最適化されたスタイリングは、X Eテンスよりも現実世界に近いものとなっており、将来的にはこれをモデルとした量産型EVの登場が期待されているが、さすがにフォーミュラEのモーターは搭載されないだろう。