【勘違い要注意】並行輸入車 審査要領の一部改正 すべてのクルマが登録できなくなる=偽情報
公開 : 2021.03.15 16:35 更新 : 2022.03.25 18:50
厳格化の背景「偽造書類」横行の事実
厳格化の目的は資料にもあるように、「並行審査要領については、的確で厳正かつ公正な審査業務の実施の観点から適宜見直しているところですが、今般、届出書等の一部として事前書面審査をおこなう『技術基準等の適合性を証する書面』が偽造されていた事案が発覚したこと、加えて、当局からも同種事案の再発防止が要請されていること」とある。
これはどういうことなのか?
厳格化の背景には、「技術基準等の適合性を証する書面」の偽造が関わっていたというわけだ。
例えば自動車メーカー等が発行する「技適」に関する書類や、FMVSSやWVTAなどのラベル。
排ガス検査の結果など、これらを偽造して日本の保安基準に適合させようとした事案があったと推測される。
それで、今回の審査要領の一部改正が提案される運びとなったのである。
EU/アメリカ/カナダからの車両に関してはこれまで通り正しい書類を用意すれば何ら変わることはない。
しかしすでに、おこりつつ問題もある。
現場、既に問題 並行輸入業者は嘆く
ある並行輸入業者は嘆く。
「ダッジ・チャレンジャーを並行輸入で登録しようとした際、2019と2020でFMVSSのラベルが違っているから現場でダメだと指摘されました」
「それで、最初、2020年車は登録ができなかったんですよ。2020年のラベルは怪しいと」
「ですが、他に輸入されたチャレンジャー(2020)も同じラベルが貼られているとのことで、ラベルの『写真を撮影して送ったらそれで良し』となり、登録ができたのです」
「しかし、今回、審査要領が改正されると、『写真は認めない』となるようです」
「原本で証明しろということですよね。原本はクルマに貼られているものですから実際は難しいでしょうね」
「現場で『これではダメ。このラベルが正規に発行されたものであることを自動車メーカーに証明してもらってください』といわれたら、わたしたちはお手上げです」
「日本の並行輸入業者に対してフォードやGMが認証を発行するなどありえないでしょう」
このような現場でのトラブルは他にもある。
正しいはずのラベルが運輸支局によって判断が異なって登録できないことも……。
正しいラベルが貼られていると思って輸入した車両が車検の現場で「正しくない」「疑義がある」と判断された場合や、古くて欠損したりかすれたりして文字が読みにくいラベルなどへの対処方法については、今後取材を深く掘り下げて別途、記事を書きたいと思う。
審査要領を改正するならば、全国どこの運輸支局で統一した判断基準を厳格に作るべきだろう。
パブリックコメント 3/21まで
なお、パブリックコメントは3月21日まで募集している。
再度書くが今回の改正は並行輸入車を一律に締め出すこととはまったく違うので正しい理解のもとに送信して欲しい。
また、冒頭に書いたように「反対意見が1000通集まったら廃案」などはデマなのでこちらも要注意。
改正内容と事情を理解したうえで要望を出すのが良いだろう。