【アウディな操舵感と車内】アウディ eトロンGTへ試乗 タイカン4Sと同じ馬力
公開 : 2021.03.21 08:25 更新 : 2021.11.11 13:20
従来のアウディとの違和感は小さい
RS eトロンGTの試乗でも同じことを記したが、モーターはモーターらしく力を発生するし、人工的に与えられたSF映画のようなサウンドも、アウディとポルシェを差別化させるほどの特徴があるわけでもない。
タイカンと同様に、電気モーターは力強くとても速い。このeトロンGTの0-100km/h加速時間は4.1秒。RS eトロンGTは3.3秒と短いが、現実世界でこの差が問題になることなど、ほぼないだろう。
パワーデリバリーは完璧なほど滑らかで静か。ローンチコントロールやダイナミック・モードで急加速をすると、リアのATは1速を選ぶ場面もある。
ステアリングホイールに付いた左側のパドルを弾くと、アクセルペダルを放したときの回生ブレーキの強さを切り替えられる。だが、ワンペダルドライブが可能なほど、強力にはできない。
デフォルトの設定でアクセルペダルから足を放すと、ATを載せたエンジンモデルのように惰性走行できる。だが、より回生ブレーキを強くする設定があっても良かった。
今までのアウディ製モデルに乗っている人たちが、eトロンGTに乗り換えても違和感を感じないように味付けしてあるようだ。確かにアウディっぽい。
でもRS eトロンGTの時と同様に、ポルシェらしいアウディなのか、アウディらしいポルシェなのか微妙なところではある。ポルシェらしさも濃い。
ステアリングフィールは間違いなくアウディ
ステアリングフィールは、間違いなくアウディだった。直進状態から切り始めたときの軽さや、すぐに得られるダイレクト感、タイカンにはないどこか遠隔操作しているような印象。意図的にアウディらしい操舵感を与えているのだろう。
試乗車が履いていたタイヤは21インチというRS級サイズ。フロントが265/30で、リアが305/30という扁平率だった。乗り心地のベースには、硬さが常にある。一方でタイカンよりは柔らかく、落ち着きも感じられた。
RS eトロンGTより控えめな通常のeトロンGTでも、魅力度は充分。ステアリングはより軽快感があり、加速力では劣っていても、2276kgという車重はRSより軽く仕上がっている。少し穏やかな動的特性も、クルマと相性が良いと思う。
でも筆者は、RS eトロンGTも好きになった。この通常のeトロンGTと同じくらい。タイカンとも、同じくらい。運転体験の訴求力はポルシェには及ばないが、興味を強く持たせる特別さはある。
英国での価格は、7万9800ポンド(1197万円)から。オプションを選び始めれば、すぐに価格は吊り上がるだろう。
アウディ eトロンGT(欧州仕様)のスペック
価格:7万9800ポンド(1197万円)
全長:4989mm
全幅:1964mm
全高:1413mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:479km
CO2排出量:−
車両重量:2276kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:83.7kWhリチウムイオン
最高出力:475ps/530ps(オーバーブースト時)
最大トルク:64.0kg-m(オーバーブースト時)
ギアボックス:−