【PHEVのSUV 3台を直接比較】BMW X3 x ボルボXC60 x ディスカバリー・スポーツ 前編
公開 : 2021.03.27 09:45 更新 : 2021.07.27 14:51
3台で一番バッテリーが大きいディスコ
早速、BMW X3とボルボXC60、ディスカバリー・スポーツのPHEV版、3台の比較を始めてみよう。
バッテリー容量は、ランドローバーが15kWhと一番大きい。BMWは12kWh、ボルボは11.6kWhとなる。そのおかげで、ディスカバリー・スポーツ P300eが一番遠くの家までEVモードで帰ることができる。
EVモードでの航続距離は、カタログ値ではランドローバーが3台で最長。混雑した都市部からスタートし、郊外の道へ足を伸ばした実際のテストでも、実用的な距離を走ることができた。
満充電でディスカバリー・スポーツが48km、XC60は40kmで、X3は32kmくらいが実際的な距離になるようだ。もし往復で45kmくらいの自動車通勤をしているなら、モデル選択に大きな影響を及ぼすだろう。
英国では、ガソリンにかかる税金が引き上げられる可能性もなくはない。EVモードでの航続距離の違いは、使用するガソリンの量の違いでもある。
ボディの見た目は、ディスカバリー・スポーツが短く狭く、一番SUVらしい。それでいて車内は意外と広く、実用性はライバル並みに優れる。着座姿勢はアップライト気味で、リアシートはスライド可能。ボルボもBMWも、リアシートは前後に動かない。
今回の3台では、どのリアシートに大人が座っても長距離を快適に移動できる。しかし一番快適だと思うのは、ディスカバリー・スポーツ。空間のゆとりだけでなく、車窓から眺めもいい。
インテリアデザインは甲乙つけがたい
ディスカバリー・スポーツのインテリアは、大幅に上質さを増している。高級感ある素材と先進的な技術が、しっかり主張するようになった。
試乗車にはアイボリーのレザーに、明るいナチュラルカラーのウッドパネルがあしらわれ、メーターパネルは鮮明なモニター式。多機能なセンターコンソールが組み合わされ、とてもいい雰囲気にまとまっていた。
インテリアは、BMWもボルボも悪くない。XC60は大胆で新鮮味がある。X3は全体的な質感の高さに感心する。慣れつつあるけれど。長距離移動する空間として、デザインは甲乙つけがたいと感じた。
着座位置は、BMWがステーションワゴンのように低い。対象的にランドローバーはシート位置が高く、周囲を見渡せる。XC60はその中間だが、どちらかといえばBMWに近い。
車高を高く感じるクルマに抵抗があるなら、ディスカバリー・スポーツは好みになりにくいだろう。もっともSUVを選ぶなら、多少でも背の高いクルマを望んでいるはずだ。
今回の3台は、いずれも3列目シートを指定できない。荷室容量は、XC60とディスカバリー・スポーツがほぼ同じ。X3はハイブリッド・システムが後輪の車軸上に載り、荷室の床面が75mm程度かさ上げしてある。狭いとまでは感じないにしろ。
観察はこのくらいにして走り出してみよう。
ランドローバーは、モダンで高級なSUVらしい個性が目指されている。乗り心地はしなやかで快適。ボディは大きいものの、扱いやすい操縦性を備え、電気モーターが融合した力強いトルクが直ぐそばにある。
この続きは後編にて。