【PHEVのSUV 3台を直接比較】BMW X3 x ボルボXC60 x ディスカバリー・スポーツ 後編
公開 : 2021.03.28 09:45 更新 : 2021.07.27 14:51
明らかに優位なディスカバリー・スポーツ
最後にPHEVのパワートレイン。呼び方は同じでも、まったく違うことに驚かされた。
BMWは、ここでもスポーティさに振ってある。ボルボやランドローバーよりノイズは大きい。EVモードでの走りには頑張っている感があるものの、ハイブリッドはとてもパワフル。
ボルボは低回転域で特に滑らかで、トルクにもゆとりがある。市街地でのEVモードでの移動は、BMWより気持ちがいい。
一方でアクセルペダルを深めに踏み込むと、ドライブトレインの上質さは低下。活発な加速を求めるとやや躊躇し、不自然さを感じる場面もあった。
この2台の後にディスカバリー・スポーツ P300eへ乗り換えると、その静けさや滑らかさ、力強さに唸らされる。BMWやボルボのシステムが、劣って感じるほど。
リアタイヤを駆動する電気モーターは、フロントタイヤを受け持つ3気筒ターボエンジンと電気モーター、8速ATとの組み合わせに見事に融合。高回転域までマナーが良い。
低い速度域でのレスポンスが鋭いだけでなく、100km/h前後の速度域でも、ライバルの2台より力強い。さらに、電気モーターとガソリンエンジンとのシームレスな一体感も素晴らしい。
全開で加速するような場面では、変速ショックも感じられなかった。純EVに乗っているような感覚すらある。
燃費は、こまめに充電を繰り返せる環境にあるドライバーなら、充分に伸ばせるだろう。だが今回の比較試乗の結果、エンジンの出番も多いハイブリッド・モードでは、P300eは11.5km/L前後に留まった。
ゲイドンの経営陣の本腰が反映された
これは、BMWの13.5km/Lや、ボルボの12.7km/Lには明らかに及ばない。日常的に走行距離の長いドライバーにとって、燃料代に反映してくる違いといえる。選択肢の順位を左右する数字だと思う。
それでも今回の3台の中で、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300eの勝利を否定するほどではないだろう。ゲイドンの技術者は、ブランドにとって重要なPHEVを高水準で完成させたといえる。
ディスカバリー・スポーツ P300eは突出した走行性能と航続距離を獲得し、たくましさも他の2台を凌駕している。滑らかさや洗練度、快適さといった点でも驚くほどの水準にある。
多くの人が望むような、PHEVのファミリーSUVに仕立てられている。ゲイドンの経営陣の本腰は、しっかりクルマとして反映されたようだ。