【現代のWRCマシン級】トールマン・タルボ・サンビーム・ロータスへ試乗 レストモッドで263ps
公開 : 2021.03.25 08:25 更新 : 2022.11.01 08:57
自然と自信が高まる操縦性の良さ
ドライバーは威勢よく吠えまくる4気筒エンジンと、シフトアップするたびに激しく震えるシフトレバーの扱いに集中できる。車内に充満するノイズと全身で感じるドラマチックさは、勇ましいサンビームにぴったりだ。
車重1tを切る軽いボディはシャープに反応。ピンを打った場所を縫うように操れる。アクセルペダルに触れるだけで鋭く加速し、少し戻せばエンジンブレーキがかかり減速する。シーケンシャルMTの素早さも丁度いい。
タイヤはピレリ・コルサ。トールマン・エンジニアリング社がサンビームをどれだけ俊敏に仕立てたのか確かめたかったけれど、気温は低すぎ、路面は濡れすぎていた。
冷たいフロントタイヤは、冷え切ったアスファルトをしっかりとは掴んでくれない。滑らかにターンインを決めるには、充分な注意が必要。だが、ドライバーの意図通りにクルマは反応してくれる。
アクセルペダルのレスポンスは即時的。グリップの余力も、情報として正確に伝えてくれる。
筆者が心もとなく感じたのは、ステアリングホイールが少し重すぎること。ステアリングラックはクイックでダイレクト。しかし、重さから思ったとおりに素早く操作することが難しく、神経を使う。
それでも望外に良い操縦性で、自然と自信が高まる。正確にライン取りするドライブスタイルから、より自由なラリースタイルへ走りが変わっていく。
テールスライドでラリー気分を楽しめる
派手なテールスライドは、少し幼いとしても、やっぱり楽しい。タルボ・サンビーム・ロータスらしい、筆者の記憶にある姿だ。ステアリングホイールを4分の1ほど回してカウンターを当てて、パワースライドを決めたくなる。
テールスライドに夢中になり、過ぎる時間を忘れてしまう。右足とリアタイヤが直接つながったような感覚があり、オーバーステアに持ち込むのは右足の角度次第。しかも、すごくコントロールしやすい。
カウンターを当てると、ステアリングホイールが少し軽くなる。スライド量も自由自在。アンダーステアの予兆も、すぐに打ち消せる。
派手なコーナリングスタイルに持ち込めば、叫びたくなるほどの爽快感が待っている。トニー・ポンドになったかのように、ラリー気分を楽しめる1台だ。
トールマン・タルボ・サンビーム・ロータス(英国仕様)のスペック
価格:8万ポンド(1200万円)以上
全長:3830mm(標準モデル値)
全幅:1605mm(標準モデル値)
全高:1395mm(標準モデル値)
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:3.5秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:958kg
パワートレイン:直列4気筒2172cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:263ps/650rpm
最大トルク:31.7kg-m/5500rpm
ギアボックス:6速シーケンシャル・マニュアル