【詳細データテスト】マツダMX-30 デザインや質感は上々 飛ばせば元気 市街地で真価を味わえず
公開 : 2021.03.20 20:25 更新 : 2021.03.27 05:14
意匠と技術 ★★★★★★☆☆☆☆
マツダは、ライバル車の多くが大きくて重く、コストもかさむ駆動用バッテリーを積むことに正当性を見いだしていないようだ。しかし、MX-30が備えるべき蓄電容量に関しては、時が来れば考えを改めざるをえないことになるかもしれない。
もっとも、EVの多くが、日常的に必要とされる以上に大きいキャパシティのバッテリーを積んでいると指摘したのは、それに欠けるクルマを発売するための地ならしだったのではないだろうか。鶏と卵はどちらが先か、という論法にも思えるが。
なにはともあれ、MX-30は航続距離に関する心配を取り除いてくれるようなEVではない。
全面的にスティールを用いたプラットフォームはマツダ3と基本設計を共有しており、フロントに積んだ145psの交流同期モーターで前輪をダイレクトに駆動する。サスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームだ。
バッテリーは、セルを衝突に備えた保護構造体で囲み、前後アクスル間の床下をほぼ埋めるかたちで配置されている。容量はグロス値で35.5kWhと、昨年テストしたホンダeと同等だが、プジョーe-2008より30%ほど少ない。
これでも、重量面でアドバンテージがあればいいのだが、そうはなっていない。テスト施設での実測値は1663kgで、よりコンパクトなホンダeに対し120kg以上、やはり昨年テストしたe-2008GTラインと比べても25kg、それぞれ重いのだ。
このクルマで明らかなのは、剛性の高さを念頭において開発されたことである。側面にピラーのないフリースタイルドアは観音開きで、後ヒンジのリアドア前端にフロントドア後端が重なる形態は、かつてのRX-8と酷似している。そうして、チャレンジングなBピラーレス構造でありながら、ユーロNCAPで5つ星の衝突安全性を実現しているのだ。
その高剛性を得た代わりに、重量がかさんでしまったことで、懸念されるのが運動性能である。それについては追い追い明らかにしていこう。