【詳細データテスト】マツダMX-30 デザインや質感は上々 飛ばせば元気 市街地で真価を味わえず
公開 : 2021.03.20 20:25 更新 : 2021.03.27 05:14
走り ★★★★★★★☆☆☆
MX-30のパフォーマンスレベルがやや緩やかだったのには、ちょっとばかり驚かされた。
たしかに、きわめて低い速度域では、軽いスロットル操作にもほぼ即座に反応する鋭さがあり、32-64km/h加速は2.6秒。停車したバスを追い越すときなどには役立つはずだ。しかし、その領域を越えると、走り志向のマツダが送り出すEVに期待するような元気さを感じることは一切ない。
1.6kmストレートでのテスト結果は、その印象を裏付けるものだ。0-97km/hが9.1秒では、中級小型車としてみると許容できないレベルではない。0-100km/hの公称タイムが9.7秒なので、これが実力とみていいだろう。
ところが、ライバル勢の0-100km/hタイムは、ミニ・エレクトリックが7.3秒、プジョーe-208が8.1秒を謳っている。それらに比べると、MX-30のパフォーマンスはやや平凡なものに感じられてしまう。
バッテリー容量の小さい、デザイン重視の都市型EVというキャラクターが共通するホンダeにも、MX-30は後れを取る。同郷の強豪モデルは、0-97km/hを7.9秒で駆け抜けているのだ。
48-113km/hにしてもホンダは7.6秒だが、このマツダは8.5秒。英国の高速道路で、合流路から制限速度へ達するのに、ほぼ1秒遅れるということになる。
スロットルペダルを思い切り踏み込んで加速すると、ちょっとばかり単調に感じられるかもしれない。エキゾーストノート代わりの合成音も、個性なく虚ろに響くだけで、走りに味わいや魅力を足してくれるものではない。
そうはいっても、非常にスムースで、運転しやすいクルマではある。ブレーキ回生のレベルはステアリングホイールに付属したパドルで5段階調整が可能だが、切り替えに頭を悩ませる走行モードの設定はない。
回生ブレーキの効きを最強にすると、ほぼ1ペダルでの楽なドライビングが可能になる。市街地では理想的な運転スタイルだ。逆に、右パドルを2回引くと回生ブレーキは弱く、加速は強くなる。また、スロットルを抜いた際には効果的に惰性走行を活かし、空いた道を走る際にエネルギー効率を向上させる。
制動能力は良好だ。乾燥した舗装路で、113km/hから完全静止までに要する距離は46.3m。これより軽く、ミシュラン・パイロットスポーツ4を履いたホンダeの44.5mにさほど見劣りしない。ペダルの調整もよくできていて、フィールがよく、速度の低下に伴ってスムースでプログレッシブに効く。