【「技術弱者連合」とは呼ばせない】「ステランティス」支える日系サプライヤー
公開 : 2021.04.05 05:45 更新 : 2021.10.09 23:40
ステランティスは「技術的な弱者連合」と呼ばれることも……。そんな技術面の不安を解消する日系企業に注目します。
世界4位となったステランティスとは
2021年1月、グループPSAとFCAが統合され、新たにステランティスが誕生した。
これにより、フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー/日産/三菱アライアンスに次ぐ、世界第4位相当の規模の自動車メーカーが誕生したことになる。
また、ステランティスには、プジョー、シトロエン、DS、オペル、アルファロメオ、フィアット、アバルト、ジープ、クライスラーなどといった、コンパクトからプレミアム、SUV、ピックアップトラック、商用車まで幅広いジャンルのブランドが揃っていることも特徴となる。
それらのブランドは、フランスとイタリアの、いわゆるラテン系ブランドを中心にジープとクライスラーというアメリカン・ブランドの集合体だ。
どれも個性的で長い歴史を誇る。ワクワクするようなホットな走りや、惚れ惚れするような美しいルックス、頼もしく力強い大型SUVといった、クルマ好きを魅了させる個性が揃っている。
しかし、その反面のように技術で売るというイメージは薄い。
それで大丈夫なのだろうか?
現在の自動車業界は「100年に1度の大変革期」と呼ばれるほどの激動期だ。環境性能向上への要求は高まるばかりであるし、自動化&コネクテッド化の進化によるクルマの価値観の変化の兆しもある。
そこで求められるのは、好事家向けの個性ではなく、誰よりも先を行く優れた技術だろう。そうした側面で、グループPSAとFCAは、技術で売る日本とドイツのブランドに対して1歩及ばぬのでは? という懸念が噂されていた。
「技術的な弱者連合ではないか」と噂されることもあるのだ。
不安解消のカギはサプライヤー
そうしたステランティスの不安を考えたときに、重要となるのがサプライヤーの存在だ。
技術がなければ、あるところから買ってくればいいのだ。
実際にプジョーが約130年前に自動車の生産をスタートしたとき、エンジンはダイムラー製を利用している。クルマを生産するといえば、つい「エンジンを含めてすべてを生産する」と考えがちだが、別に部品をすべて自社製にする必要はない。
タイヤなどと同じように、エンジンも部品の1つとしてサプライヤーから手に入れるという手法も当然ながらありなのだ。
そんなステランティスを支えるサプライヤーには、面白いことに日本の企業も存在している。
とくにグループPSAは、以前から日本のアイシンとの関係が深い。2010年ごろからアイシン製のトランスミッションをプジョーに供給するだけでなく、2018年にはアイシンで開発したATをPSAがライセンス生産をおこなうという契約も結ばれている。
また、フィアットの人気モデルである500の北米モデルにもアイシンの6速ATが採用されてもいる。プジョー、シトロエン、DS、オペル、フィアット、アバルトの多くのクルマにアイシン製のトランスミッションが搭載されているのだ。
さらに、近年の進む電動化にあわせてアイシンは自社開発した1モーターと2モーター式のハイブリッドシステムをプジョーに供給を実施しているのだ。
また、アイシンは、デンソーと共同でブルー・ネクストという新会社を立ち上げた。
この会社は、アイシンとデンソーが作り上げたeアクセルを供給するところだ。車軸にモーターを仕込むeアクセルは、従来のエンジン車を簡単に電動化できるアイテムだ。FF車の後輪に使えば電動式4WDハイブリッドになるし、前後輪に使えばEVも作れるのだ。
アイシン以外にもグループPSAと関係を結ぶ日系サプライヤーが存在する。
それが世界トップクラスのモーター・メーカーである日本電産だ。
日本電産は2018年にグループPSAと合弁会社「日本電産イーモーターズ」を設立して、グループPSAの電動化を支援しているのだ。