【バブル期の憧れを今】BMW 3シリーズ(E30) 英国版中古車ガイド 悩みはボディのサビ
公開 : 2021.03.29 08:25 更新 : 2021.07.12 18:45
今改めて見ると、コンパクトさに気づくE30型の3シリーズ。1980年代のドライバーズカーとして、高い支持を集めました。英国編集部が中古車の注意点を解説します。
もくじ
ーベストタイミングに登場したE30
ーすべてを台無しにするボディのサビ
ー不具合を起こしやすいポイント
ー専門家の意見を聞いてみる
ー英国ではいくら払うべき?
ー知っておくべきこと
ー英国で掘り出し物を発見
ベストタイミングに登場したE30
BMW E30型3シリーズの登場は、タイミングが良かった。英国ではダイアナ妃のご成婚で雰囲気が良くなり、住宅価格や株価の上昇に伴い一部の層では賃金が上昇。豊かな空気感が生まれていた1982年に発売された。
上品で運転しやすいE30型の3シリーズは、その空気感を完璧にとらえた。日本でもバブル景気に乗り、強い人気を獲得している。
2ドアクーペと4ドアサルーン、コンバーチブル、ステーションワゴンとボディは多彩で、エンジンも4気筒と6気筒が選べた。装備も充実しており、資金のあるドライバーが選ぶモデルとして、3シリーズの基礎を築いたといっていい。
それから40年。当時の人気を知る世代を中心に、E30型の注目度が再び高まっている。状態の良いE30型には、英国では新車並みの価格が付いていることも。モノによっては、新車時以上の値段で取引される例もある。
E30型のM3は、そんな1台。英国価格は4万ポンド(600万円)から19万ポンド(2850万円)くらいになるようだ。でも今回はM3を除く、通常の3シリーズを対象としたい。
うれしいことに、普通のE30型3シリーズなら5000ポンド(75万円)くらいから英国では見つかる。走行距離の短い1989年式325iツーリングの場合でも、1万2000ポンド(180万円)程度だ。
リスクを犯せば、2500ポンド(38万円)くらいから買える。だがボディのサビや傷んだインテリア、電気系統の不具合などは覚悟した方が良いだろう。整備記録も完璧とは呼べないはず。
すべてを台無しにするボディのサビ
運が良ければ、掘り出し物も見つからなくはない。多少の不具合はあったとしても、基本的には非常に堅牢にできている。
E30型は、先代に当たる1975年から1982年までのE21型を大改良したもの。後輪駆動でハンドリングを磨き、安定性を高め、パッケージングも良くなった。優れた技術が投入され、滑らかな走りで上質さを高めている。
英国で新車当時選べたエンジンは、直列4気筒の1.6Lと1.8Lのキャブレターかインジェクション、直列6気筒の2.0Lか2.3L、2.5Lのインジェクションだった。最高出力は当時としては悪くなかったが、現代では特に気を引く数字ではない。
316と318は、活気が足りない。325iSに乗っていた170psの2.5L直6が最もパワフルだったが、318iSの2ドアに載っていた135psの4気筒ユニットも、当時のラインナップでは近代的なエンジンで悪くないだろう。
安価で流通量が多いのは、多少の整備が必要な318iか320iのサルーン。ATのほかMTも出てくる。仮にMTを見つけても、走行距離より車両状態を優先したい。特にボディの深刻なサビは、すべてを台無しにしてしまう。
ボディはよく錆びる。1987年のマイナーチェンジで、保護性能を高めてあるけれど。
初期がバウアー社製で、後期がBMW社製となったコンバーチブルも魅力的。状態が良ければ価格も高い。心が動いても、しっかり良く見て、頭で考えてから行動したい。