【1.0L 3気筒でも不満なし】フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSIへ試乗 まとまりの良い小型SUV

公開 : 2021.03.30 08:25

フォルクスワーゲンのコンパクトクロスオーバー、Tクロス。低出力な1.0Lに5速MTの組み合わせでも、優れたバランスに変わりはないと英国編集部は評価します。

モデルで訴求力の高い1.0L 3気筒

text:AUTOCAR
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲンが生産するSUVの中で、一番コンパクトなモデルがTクロス。登場したのは2019年。当初のエンジンはガソリンとディーゼルが各1種類という、シンプルな構成でスタートした。

その後、ライフスタイル重視の若いユーザーの支持を集め、エンジンラインナップは拡大。2020年にTSIエボと呼ばれる150psの1.5Lガソリンエンジンも英国では導入された。トランスミッションは、7速デュアルクラッチATだ。

フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSI SE(英国仕様)
フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSI SE(英国仕様)

95psを発生する1.6Lのディーゼルエンジンも用意され、英国では5速MTを組み合わせることもできる。燃費に優れるチョイスではあるが、今どきディーゼルは売れ筋にはなりにくい。

もちろんパワフルなエンジンなほど、コンパクトなTクロスに不足ない動的性能を与えてくれる。だが1.0L 3気筒ターボガソリンが、Tクロスで最も訴求力のあるユニットになりそうだ。

実際、英国でも販売の中心をなしており、95psと110ps、114psの馬力設定から選べる。日本へ導入されているのも、パワーは異なるがこの1.0L TSIユニットだ。

パワフルな114ps版のTクロスは、マヨルカ島で試乗している。6速MTとの組み合わせで、非常に洗練されたクロスオーバーだった。今回焦点を当てるのは控えめなパワーの95ps版で、5速MTが載っている。

余裕のある車内に充実した装備

Tクロスの車内は広々としており居心地が良く、運転しやすい。英国の様々な路面を走らせても、角の取れた印象を与えてくれる。ドライビング体験は114psほどの活気はないものの、特に遅いと感じることはないだろう。

選択したトリムグレードは、英国ではSEと呼ばれるもの。中間グレードに当たり、一番多く選ばれるものになる。ルーフレールや可変フロア付きの荷室、アダプティブ・クルーズコントロール、衝突被害軽減ブレーキなど装備も充実している。

フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSI SE(英国仕様)
フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSI SE(英国仕様)

インフォテインメント・システムはコネクティビティ機能のアップ・コネクトを実装し、スマートフォンとのミラーリング機能をサポートする。内容を考えれば、下位グレードから1850ポンド(27万円)の価格上昇ぶんは得られていると思う。

英国には、ユナイテッドと呼ばれるトリムグレードが2020年に追加された。価格は2万410ポンド(306万円)からで、スタイリング的なこだわりを強めた仕様。装備内容はSEとあまり変わらない。

全長4110mmの車内には、体格の大きいドライバーでも快適に座れるシートが備わる。運転席の調整幅は広く、足もとにも頭上にも、空間に余裕がある。

2列目シートはベンチタイプで、前後にスライドが可能。荷室を広げるか、リアシートの足もと空間を広げるか、必要に応じて選択できる。

といっても、平均的な大人がリアシートへ快適に座った状態でも、荷室はコンパクトカーに期待する程度の容量がある。普段はシートを動かす必要性を感じないかもしれない。

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