【1.0L 3気筒でも不満なし】フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSIへ試乗 まとまりの良い小型SUV
公開 : 2021.03.30 08:25
1.0Lでも不足ない動的性能
試乗したSEグレードの場合、メーターパネルはモニター式ではなく従来的なアナログタイプが標準装備。英国ではRラインからモニター式となり、モダンな車内空間をさらに引き立ててくれる。
インテリアデザイン自体は若干単調に思えるが、オプションのデザインパッケージを選択すれば、好みに合わせて鮮やかなカラーを追加できる。特にオレンジ色は、小さなクロスオーバーらしい活発な雰囲気に仕上がる。
知覚品質は、素晴らしいとまではいえないものの、充分な水準。フォルクスワーゲン・ゴルフと比べれば見劣りするかもしれないが、不満を感じるほどではないだろう。
1.0Lの3気筒エンジンは、高負荷時には4気筒とは異なる特徴的なノイズを発生する。一般的な速度域なら滑らかに回転し、マナーは良い。全体的な運転もしやすい。
2000rpm以下からの中間加速は少し勢いに欠けるが、それ以上回せば反応は良い。6000rpmまで軽快に吹け上がり、追い越しでも必死になる必要ないだろう。不満のないだけの動的性能は得ている。
Tクロスは、このサイズのクロスオーバーとしては全高1584mmと背が高く、箱型のボディが与えられている。スプリングがやや柔らかいこともあって、100km/h近い速度で凹凸のある路面を通過すると、若干フワ付いた挙動を示すことがあるようだ。
だが低速域での乗り心地は穏やかで柔軟性があり、幹線道路の速度域でも落ち着いている。ハンドリングの精度や、高速走行時の安定性も優れているといえるだろう。
まとまりの良いコンパクトSUV
コーナーではボディロールをそれなりに示すものの、シャシーのレスポンスは良好。旋回姿勢は安定していて信頼感が薄れず、路面の起伏を通過しても進路が乱れることもない。
コンパクト・クロスオーバーを検討していて、スタイリングだけでなく使い勝手や操縦性なども大切にしたいと考えているなら、フォルクスワーゲンTクロスはぜひ候補に加えたい1台だと思う。
中間グレードのSEを選んだとしても、充実した装備は変わらない。パワーで劣る1.0Lだとしても、運転のしやすさに大きな影響はないだろう。
Tクロスの見た目には、フォルクスワーゲンらしい上質さがある。小さなボディに、不足ない実用性も備えている。目を引くデザインだが、過度に注目を集めるほどでもない。まとまりの良いコンパクトSUVとして、有力な1台だといえる。
フォルクスワーゲンTクロス 1.0 TSI SE(英国仕様)のスペック
価格:2万210ポンド(303万円)
全長:4110mm
全幅:1760mm
全高:1584mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:11.6秒
燃費:17.2km/L
CO2排出量:132g/km
車両重量:1267kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:95ps
最大トルク:24.1kg-m/1600-3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル