【選ぶなら安くて軽いRWD】フォード・マスタング・マッハE RWD 航続距離439km
公開 : 2021.03.31 08:25 更新 : 2021.05.14 07:41
エントリーグレードとなる、後輪駆動のマスタング・マッハE。439km航続距離がうたわれる軽量なRWD版の方が、訴求力は高いと英国編集部は評価します。
最高出力269psの後輪駆動
今までフォード・マスタングのエントリーグレードといえば、4気筒ターボエンジンを載せたアグレッシブなルックスの2ドアクーペだった。でも、2021年の前半にご紹介するマスタングのお手頃モデルはこちら。
フォードがマスタング・マッハE スタンダードレンジRWDと呼ぶ、純EVの4ドアSUVだ。車名はちょっと長いが、今の時代を象徴するモデルといえる。
荒野を駆けるポニーのエンブレムと伝説のマッハEというロゴを、電気自動車のSUVに与えるというフォードの決定には賛否両論あると思う。フォードの考えは、以前の試乗記と一緒にご紹介させていただいた。
電動のマスタング・マッハEが売れれば、V8エンジンを載せたマッスルなマスタングにも数年の余命が与えられる。そのとおりなら、筆者はこの名前に納得することができる。
一番お手頃なマスタング・マッハEの英国価格は、4万350ポンド(605万円)から。政府の補助金を差し引けば、3万7350ポンド(560万円)になる。
前回ご紹介したマスタング・マッハEは、デュアルモーターの四輪駆動だった。今回のモデルはシングルモーターで、後輪駆動。モーターは車両後方に搭載され、最高出力269ps、最大トルク43.7kg-mを発揮する。
フロアに搭載されるバッテリーは、実際に利用できる実効容量で68kWh。航続距離は439kmとうたわれる。トップグレードのマスタング・マッハEより約100km短い。またフォルクスワーゲンID.4のファースト・エディションより65kmほど短い。
数字以上に鋭く感じるダッシュ力
しかし、439kmでも充分に実用的な距離だろう。充電器は、最大で115kWまでのDC急速充電器に対応。車重はほぼ1.9tあるが、0-100km/h加速は6.9秒だ。並ぶ数字は悪くない。
インテリアは典型的なフォード。プレーンで、見た目の雰囲気は少し挑戦的。用いられている素材も、プレミアム感が高いものではない。
車内空間は広く、ダッシュボード中央に置かれる縦長のタッチモニターは驚くほど大きい。走行中に触れるのは、少々難しいけれど。
純EVの登場が相次いでいるが、航続距離の長い部類に属するマッハE。ドライビング体験はかなりイイ。まず、0-100km/h加速の数字以上に、ダッシュ力は鋭く感じられる。30km/hから80km/hくらいまでの間が特に速い。
アクセルペダルを踏み倒すと、感心する勢いで進み始める。100km/hを超えた辺りで加速感は鈍り始めるが、それでも充分にパワフル。思わず、積極的に運転したくなる。
ワンペダル・ドライブも見事に機能する。逆に、ブレーキペダルの感触には慣れが必要なようだ。
ブレーキペダルは、踏み始めた直後から強力に制動力が立ち上がる。市街地を穏やかに走らせている場面でも、郊外の道を速めのペースで流している時でも、理想的な制動感とはいえないだろう。
しかしフォードは、ドライビング体験として重要な要素を理解している。マスタング・マッハEにも、ちゃんとそれが反映されている。