【欧州トヨタのトップに聞く】トヨタ電動化戦略の行方 ヨハン・ファン・ゼイルCEOへインタビュー

公開 : 2021.03.24 06:25

トヨタの欧州事業を率いてきたヨハン・ファン・ゼイルCEOに、EV戦略やブレグジットについて尋ねました。

ガソリン車販売禁止の影響は?

text:AUTOCAR UK編集部
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ヨハン・ファン・ジルは、2015年から務めてきたトヨタ・モーター・ヨーロッパの社長兼CEOを間もなく退任し、南アフリカでトヨタの事業を統括する立場に戻る。しかし、彼が祖国に戻る前に、英AUTOCAR編集部は話を聞くことができた。

新型アイゴに電動化の計画がないのはなぜですか?

「そうとは言えませんが、後日、製品やモデルの全ラインナップを公開する際に、見ていただくことになります。これはあくまでもプロトタイプの公開です」

PSAグループとのコラボレーションモデルは期待できるのでしょうか?

トヨタ・アイゴXプロローグ
トヨタ・アイゴXプロローグ    トヨタ

「それについては、まだ何も発表していませんので、今後、何らかの発表をすることになるでしょう。もちろん、PSAとの関係は今後も続きます。当社のプロエースとプロエース・シティはPSAから調達しています。また、EV仕様のプロエースもPSAから調達しており、PSAとの関係には非常に満足しています」

2030年に英国でガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止されると、トヨタにはどのような影響がありますか?

「わたし達はハイブリッド車を販売していますので、フル・ハイブリッド車とプラグイン・ハイブリッド車は2035年まで免除されます。わたし達には、この課題をどのように克服するか、じっくり検討する時間があります。しかし、欧州での道筋は非常にはっきりしていると思います」

「それは電動化への移行であり、わたし達にとって新しいことではありません。何年も前に始めたことですが、今は少しずつ加速していると思います。より多くのハイブリッド車、より多くのプラグイン・ハイブリッド車、そしてもちろんバッテリーEV(BEV)が市場に投入されるでしょうし、トヨタも同じように、より多くのプラグイン・ハイブリッド車、より多くのバッテリーEVを投入するでしょう」

「2030年はまだまだ先のことのように思われますが、そうではありません。モデルのライフサイクルを2つ経て、そこに到達します」

EV戦略の中心は欧州市場

ハイブリッド戦略はうまくいっていますが、トヨタはもっと早くバッテリーEVに移行できたのではないでしょうか?

「わたし達は、2025年までに100万台のゼロ・エミッション車を販売したいと考えており、すでに計画を前倒ししています。当初の目標は2030年でしたが、今は2025年に設定しています。例えば、欧州では少なくとも10台のEVを発売することになるでしょう」

トヨタのBEV戦略は、欧州が中心なのでしょうか?

「欧州は非常に進んでいます。中国やその他の地域もありますが、わたしの考えでは欧州が最も進んでいると思います。グリーンディール、再生可能エネルギー、予算制度、サポートなど、電動化のためのすべてが整っています。バッテリー容量などへの投資サポートもあり、これらはすべてEUを通じて行われていますので、欧州は量的電動化に最も早く移行する地域だと思います」

ブレグジット後、英バーナストンのトヨタ工場の状況はどうでしょうか?

4月に発表予定の電動SUVコンセプト
4月に発表予定の電動SUVコンセプト    トヨタ

「今回のブレグジットの合意は、自動車業界にとっては公平なものだったと思います。ブレグジットが非常に整然と行われ、自由貿易協定が締結されたことで、バーナストンではコスト競争力にさらに注力することができ、将来のビジネスのための強固な基盤を作ることができます」

今月でトヨタ・ヨーロッパの役職を退任されますが、次は何をされるのですか?

「トヨタ自動車を含む海外でのすべての仕事からは退きますが、南アフリカに戻って、引き続き南アフリカ・トヨタの会長を務めます。そして、ここ数年放置していた自分のクルマのもとへ戻ることができます。オースチンヒーレージャガーEタイプ、MGA、多くのランドクルーザー、MGB、シトロエン、トヨタGT2000など、今では20台ほどになってしまいました」

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