【小柄で元気なイタリアン】ロンバルディ・グランプリ ベースはフィアット850  前編

公開 : 2021.04.10 07:05

ジャンニー二やアバルトも独自仕様を販売

843ccの4気筒エンジンがシャシーの後ろにぶら下がり、4速のMTが組み合わされた。当時のグランプリのカタログによると、最高出力は47ps/6400rpm、最大トルクは5.9kg-m/3600rpmだったらしい。

数字は大したことないものの、車重は625kgと軽量。160km/hの最高速度を出すことも可能だった。

ロンバルディ・グランプリ・シリーズ2(アバルト・ジャンニーニ・フィアット・グランプリ/1971年)
ロンバルディ・グランプリ・シリーズ2(アバルト・ジャンニーニ・フィアット・グランプリ/1971年)

サスペンションは、フロント側がA型アームとリーフスプリングで、リアはセミトレーリングアームとコイルスプリングの組み合わせ。前後ともにアンチロールバーも備わっていた。

小さく軽いロンバルディ・グランプリは、イタリアで小さくない反響を集めた。クルマのチューニングを手掛けるジャンニーニ・オートモビリ社は、1968年11月のトリノ・モーターショーで自社バージョンを発表する。

すぐに複数のバリエーションが展開された。排気量は843ccのほかに、903ccと980ccが用意され、ツインチョークのウェーバー30キャブレターを搭載。トップグレードでは、67ps/6300rpmと、悪くないパワーを獲得した。

ライバルだったアバルト社も、グランプリをチューニングし独自仕様を発売。スコーピオンと改名したうえで、フィアット850のエンジンを、フィアット124用の1197ccプッシュロッド4気筒に置き換えた。

後に1280ccへ排気量が拡大されたほか、76psを生み出す1300Sなど、複数の仕様のスコーピオンが作られている。その頂点を飾ったのが、スコーピオンSS。ウェーバー40Eキャブレターを装備し、最高出力は約100psの大台に乗せた。

北米仕様やタルガルーフ・ボディも誕生

ブレーキは4輪ともディスクへ強化され、フロントのサスペンションはコイルスプリングに改良されている。もとのロンバルディ・グランプリは、リアがドラムブレーキだった。850エンジンで52psを獲得したアバルト仕様も購入できたようだ。

新進気鋭の自動車ディーラー、ジョン・リッチは北米市場向けにオリジナル・モデルをコラボレーション。ロンバルディとリッチのほか、フランコ・ジャンニーニの協力も受け、北米向けのオータス(OTAS)820グランプリを生み出した。

ロンバルディ・グランプリ・シリーズ2(アバルト・ジャンニーニ・フィアット・グランプリ/1971年)
ロンバルディ・グランプリ・シリーズ2(アバルト・ジャンニーニ・フィアット・グランプリ/1971年)

カリフォルニア州では1969年に排気ガス規制が強化されていたが、排気量819cc(50cu.in)以下のクルマは、除外されていた。エンジンはフィアット850由来の817cc。シリンダー・ボアを64mmに小さくし、排気量の規定をクリアしている。

削られた排気量を補うべく、圧縮比は9.3:1から10.1:1へアップ。アバルトのエキゾーストマニホールドとソレックス32キャブレター、専用カムが組まれ、52psを引き出している。

リッチ・モーター社は1969年に820グランプリの輸入を開始。2年間で100台以上を販売した。

1969年のトリノ・モーターショーでは、フランシス・ロンバルディ社は改良版のモンツァを発表。ロンバルディ・グランプリの構成を自ら複雑にしている。

タルガルーフに、ルーバー付きのリアデッキのスタイリングが与えられ、ボディ中央には横転時に耐えられるロールオーバー構造が内蔵された。1970年のニューヨーク自動車ショーでは、2台が展示されている。

この続きは後編にて。

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