【グリル生かしたブランド構築】メルセデスに「パナメリカーナ」増えたワケ
公開 : 2021.04.08 05:45 更新 : 2021.10.13 12:04
ブランドの象徴的存在として
こうしてわずか数年で一気に増えたパナメリカーナグリルだが、どうしてここまで急拡大し多くのAMGモデルに装着されるようになったのだろうか。
「メルセデス・ベンツ内でサブブランドが増えて、それぞれに個性を与えて差別化をはかる必要がある。その一環」とメルセデス・ベンツは説明する。
いま、メルセデス・ベンツには通常モデルのほか「メルセデスAMG」、「メルセデス・マイバッハ」、そして「メルセデスEQ」などサブブランドが登場している。
AMGはパナメリカーナグリル、マイバッハは細かい垂直フィンのグリル、EQは水平の2本線+グリル上部の水平ライン、とブランドごとにグリルのデザインを統一。
見た瞬間にどのブランドなのかが直感的にわかるようにしているのだ。
過去の栄光をブランドづくりに
さらにもう1つ、メルセデスAMGに関していえば、かつてよりも標準モデルとAMGモデルの見た目の違いが感じにくくなっていることも理由として考えられる。
20年ほど前まで、標準車とAMGモデルには見た目の明確な違いがあった。コンサバな標準車に対し、AMGモデルは明らかに派手でスポーティだったのだ。
しかしここ20年ほどで、標準車にも「アバンギャルド」にはじまりその後「AMGスタイリングパッケージ」が用意されるようになり、AMGモデルじゃなくてもスポーティなスタイリングを選べるようになっている。
昨今のAMGスタイリングパッケージは、まるでAMGモデルのように流麗でスポーティだ。
その結果、外観においてAMGモデルの明らかない特別感が霞んできたのは否めないだろう。
そこで明確にAMGモデルだとわかるグリルを組み合わせることで、個性を高めているのだ。そう考えるとパナメリカーナグリルの復活と採用拡大が腑に落ちる。
「AMGモデルの差別化を図るため」
パナメリカーナグリルが増えている背景には、明確な狙いが存在する。それと同時に、自動車業界においては栄光のストーリーを伴う過去の遺産がブランドづくりにいかに重要かということも理解できる。