【次期カングーと共同開発】メルセデス・ベンツ・シタン 試作車へ試乗 Tクラスに展開も 後編

公開 : 2021.04.02 19:05  更新 : 2021.05.12 21:08

メルセデス・ベンツが開発を進める小型商用車のシタン。家族用のミニバンとして、Tクラスへ展開する計画もあります。開発途中の試作車に、英国編集部が試乗しました。

5シーターのほかに7シーターや純EV版も

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
開発の進む、次期メルセデス・ベンツ・シタン。ダッシュボード中央の高い位置からシフトノブが伸びる。ハンドブレーキはレバー式。フロントシートの間の低い位置にあった。

計画されているシタンの乗用車版、Tクラスでは5シーターのほかに7シーターも設定される予定で、車内のレイアウトは多彩。5シーターなら、リアシートをスライドさせなくても洗濯機や自転車を積めるだけの荷室が得られる。

メルセデス・ベンツ・シタン・プロトタイプ
メルセデス・ベンツ・シタン・プロトタイプ

新しいシタンが基礎骨格とするのは、ルノー製のCMF-Cプラットフォーム。次期カングーと同じもので、前輪駆動のみとなる。

エンジンのラインナップはまだ明らかになっていない。予想としては、1.3Lの4気筒ターボガソリンと、1.5Lの4気筒ターボディーゼルが英国の選択肢に入ると思われる。

またゼロエミッション版として、EQTというモデル名の純EVも2022年に英国ではリリース予定。カングーZEの兄弟モデルという位置づけになる。

今回試乗したシタンのプロトタイプに載っていたのは、130psと24.4kg-mを発生するガソリン・ターボエンジン。欧州ではAクラスBクラス、CLAやGLBなどにも採用されている、ルノー製のユニットだ。

トランスミッションは6速MTが標準装備。滑らかに加速し、低回転域からフレキシブルで、丁度いい走りが得られる。余力があるわけではないものの、低速域からしっかり箱型ボディを引っ張り、中回転域では驚くほど力強い。

先代よりはるかに快適で洗練された走り

エンジンノイズはよく遮断され、車内でうるさく感じることはなかった。メルセデス・ベンツはMTが主力になると予想するが、エンジンによっては7速デュアルクラッチATもオプションとして選べるという。

一般道を走らせてみると、従来のシタンよりはるかに快適で洗練されたフィーリングに感銘を受ける。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式ながら、とても良く働く印象だ。

メルセデス・ベンツ・シタン・プロトタイプ
メルセデス・ベンツ・シタン・プロトタイプ

スプリングとダンパーはメルセデス・ベンツ独自のもので、小さな細かい揺れも、大きな凹みのような衝撃も、しっかり受け止めてくれる。圧縮時の衝撃吸収性が特に秀でており、走りには滑らかさすら感じる。

サスペンションは、柔らかいレートのスプリングとダンパーに、硬めのアンチロールバーが組み合わされているという。ブッシュ類の強度も高められている。

「開発全体のゴールは、シタンにメルセデス・ベンツらしいドライビング・フィールを与えることでした。お客様の多くが求めていることです」。と、シタンのプロジェクトリーダー、ダーク・ヒップが説明する。

電動機械式のパワーステアリングは操舵感が軽く、切り始めからかなりレシオが高い。低速域での扱いやすさと、流れの速い郊外の道での正確なターンインにつなげている。

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