【毎日楽しいミドシップ】トヨタMR2 英国版クラシック・ガイド SW20型 濡れた路面に注意 後編

公開 : 2021.04.11 17:45

トヨタ製ミドシップスポーツで、一番多く売れたのが2代目MR2。近年の英国でも、クラシックとして注目が高まっています。英国編集部がその魅力と注意点をご紹介します。

よく確かめたい修理履歴と冷却系

text:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
トヨタが生み出したミドシップのMR2といえども、濡れた路面でドライバーを翻弄する場合がある。事故を起こし修理したとしても、内容が充分でなければ本来の走りは楽しめない。

MR2の中古車を探す場合、まずは事故歴や修理痕の確認から。前後に用意された荷室空間周りに不自然な痕跡がないか観察し、試乗もできるだけしておきたい。

トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)
トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)

サスペンション・マウントやブッシュ、ボールジョイント、ショックアブソーバーなどは交換していなければ経年劣化している。操縦性にも乗り心地にも影響を与える。パワーステアリングの不具合はMR2では一般的。ソレノイドの交換で治ることも多い。

冷却系の状態は重要なポイント。ラジエターやエンジンまわりからの液漏れや、オイルとクーラントが混ざって乳化していないか確かめる。クーラントの色は赤。放っておくと、ヘッドガスケットの不具合につながることも。

ダッシュボードに表示されるエンジン警告灯は、些細な不具合から重大な故障まで、一括して知らせる。常時点灯している場合や、始動時に一度も点灯しない場合は、原因を確認しておきたい。

トランスミッションは堅牢。ターボには強化版が載っている。それでも異音や振動には気をつけたい。フルードは定期的な交換が必要。MTの場合、クラッチの摩耗状態もチェックポイント。

試乗時は、タルガトップならルーフパネルを取り付けて、不要なノイズがないか車内でよく聞き取る。かび臭かったり車内が湿気っぽい場合、タルガルーフ周辺からの雨漏りしている場合が多い。

不具合を起こしやすいポイント

電気系統

キーを回しオンにして、すべての警告灯が一度点灯してから、エンジン始動後に消灯することを確かめる。正しく警告灯が点かない場合、修理を前提にしておきたい。

リトラクタブル・ヘッドライトにパワーウインドウ、ラジオアンテナ、スピーカー、ミラー、ワイパーとウオッシャー、エアコン、集中ドアロックなど、電装系の動作はすべて確認する。

エンジン

ツインカムユニットは非干渉型で、タイミングベルトに不具合が起きてもバルブが痛まない。タイミングベルトの交換は9万kmごと。

メンテナンスされていればエンジン自体は耐久性が高いが、ターボエンジンの方が劣化は早い。異音がないか、聞き耳を立てて確かめる。

走行距離が長い場合、エンジンオイルとクーラント、排気などの漏れや、白煙、ビッグエンド・ベアリングまわりの異音がないか確かめたい。

純正マフラーのMR2は珍しく、アフターマーケット製は多数ある。特定の回転域で過度にうるさくないか、確かめておくといい。

ブレーキとラジエター、タイヤ

走行頻度が少ないとブレーキキャリパーは固着し、ディスクは錆びる。タイヤのコンディションと銘柄は、クルマの維持管理状態を示すポイントの1つ。

サビや飛び石で、ラジエター下部が痛むと液漏れにつながる。ツインファン付きのアルミニウム製の新品に交換されているなら安心材料。

ボディ

サイドシルは錆びやすい。特に車両後方側。シートベルトマウント付近のフロアや、リアフェンダー、サブフレーム、トライアングルバーなどは錆びるポイント。フロントストラット周辺やスペアタイヤの収納部分、Aピラーやドアの付け根も同様。

カーペットが濡れることで、フロアが錆びたり、電子機器に不具合を招く。新しいシール材で密閉すれば直るが、購入前の確認が重要。

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