【世界3大耐久レースの1つ】マツダ 最後のIMSAセブリング12時間を終えて 選手インタビュー

公開 : 2021.04.03 08:05  更新 : 2022.11.01 08:45

ドライバーの度胸が試されるレース

オリバーは、ファンが入れるときのインフィールドを「動物園」と呼んでいます。夜にマシンを走らせるのはどんな感じですか?あのクレイジーな観客を意識していますか?

オリバー:ニュルブルクリンク24時間レースのときもそうでしたが、彼らを意識するのは、焚き火や燃えるソファを見たり、バーベキューの匂いを嗅いだりするときだけですね。あのインフィールド・セクションは、とてもタイトで曲がりくねっているので、ドライバーとしては、特に周りにマシンがいる中では、完全に集中しなければなりません。

セブリング12時間は、世界で最もタフなスポーツカーレースなのでしょうか?

オリバー:基本的にはどこも大変ですが、12時間ということで、ドライバーにとって朝4時に起きてスイッチを入れるのは精神的に疲れます。24時間レースでは、睡眠不足が蓄積されていきます。でも、セブリングの12時間が終わった後には、傷だらけの状態になっています。

マツダRT24-P
マツダRT24-P

ハリー:セブリングの翌朝は70歳の男性になったような気分です。かなり辛いですよ。

リーナはどうですか?

リーナ:オリーが睡眠不足と言ったのは面白いですね。エンジニアにとって、週末のレースにはつきものですから。実際、ピットスタンドから見ていても、とても厳しいと思います。ラップタイムが長いので、考えすぎて判断を誤ってしまいがちです。

戦略面では、最初から勝負に出ることができます。24時間レースでは、一定時間巡航することはあまりありませんが、セブリングでは避けられません。わたし達が座っているピットレーンは、ストレートでマシンが通過していく場所にとても近いので、レースにどっぷりと浸かることができます。常に騒音があり、活気があり、周りが賑やかです。ル・マンではラップタイムが長いので、ラップ中に寝てしまうことも……。

IMSAのルールにも同じことが言えます(IMSAでは、周回遅れのクルマへの救済措置として「ウェーブ・アラウンド」というルールを設けている)。数ラップダウンしても、そこから復帰することができる。それがIMSAの魅力です。レースの一部であることをより強く感じられます。今のル・マンで1周遅れになったら、もう取り戻せませんよ。セブリングでは、いつも圧倒されます。終わった後は、ただ1人にしておいてほしいですね。少し落ち着きたいので。

セブリングには何か特別なものがあります。1950年代からほとんど変わっていないのでは?

オリバー:ターマックではなくコンクリートの部分を見ると、隙間や穴がすごいんです。携帯電話を入れられるような穴もあります。僕が気に入っているのは、ランオフエリアが整備されすぎていないところ。第1コーナーでミスをすれば壁にぶつかるし、第17、10、13コーナーでもそう。それが課題なんです。17コーナーでは、リスクとリターンのバランスが取れていないので、100%の状態で走ることはほとんどありません。リスクを冒せば、ほぼすべてのコーナーでラップタイムを稼ぐことができるコースの1つです。セブリングでは、ドライバーが違いを生み出すことができるのです。

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