【最新EV対決】後編 似て非なる3台 ニーズ次第でどれも勝者の可能性あり 実用性ならID.4
公開 : 2021.04.03 21:45 更新 : 2021.07.12 18:48
最新EV3台、いよいよ試乗です。乗り比べてみると、いずれもブランドの特色が驚くほど明確に感じられました。一応の順位は決めたものの、まったく個性が違うので、お好みやニーズ次第でどれを選んでも楽しめそうです。
高級感に勝るポールスター
充電中の3台を観察していて、おもしろいことに気づいた。まず、これは予想できたことだが、ポールスターは高級感という点で、ほかの2台と比べものにならないということだ。
テスト車は4000ポンド(約56万円)のオプションである淡色のナッパレザーと端材を再構築したウッドパネルを装着してはいるものの、標準仕様でもラウンジのようなクールさは変わらない。
収納スペースも十分に備えている。ただし、標準装備されるパノラミックグラスルーフは鉱石の頭上スペースを侵害している。また、内燃エンジン主体のボルボ製プラットフォームがベースなので、センタートンネルが後席中央のスペースを、小さな子どもでないと窮屈なくらいに狭めている。
対照的に、マッハEのキャビンは、いかにもフォードらしい雰囲気だ。いってしまえば、マテリアルの上質さやデザインの大胆さと魅力で、ほかに勝るところはない。テスラのような大画面のタッチ式センターディスプレイを装備して、好ましいハイテク感を加えてさえ、どこかパッとしないのだ。
ただし、前席はポールスターほど安楽ではないものの、後席に座っても頭上にルーフの圧迫感を覚えることはない。明らかに広さでは上回っている。
実用性が光るID.4
だが、高級感と広さのバランスが最も優れているのはID.4だ。
硬い手触りのプラスティックが多用されているので、ポールスターほどの豪華さは感じられない。しかし、フォルクスワーゲンがID.4のキャビンをデザイン面で魅力的に仕上げようとした努力は、フォードがマッハEに注ぎ込んだそれより上だと思うはずだ。
ファーストエディションは、グレーとブラウンのシートや内装トリムを標準装備。派手ではないシャレた見栄えで、鮮明なホワイトのステアリングホイールなどとのコントラストもいい感じ。ただし、汚れがつかないよう常に気をつけたくなりそうではあるが。
もっともキャビンが広く感じさせるのも、これまたフォルクスワーゲンだ。後席に座るとマッハEと大差ないが、荷室に目を移すと、ID.4の優位性が際立つ。
ウインドウの高さまでで543Lという容量は、ポールスターの446LとマッハEの402Lのいずれをも上回る。ファミリーカーとしての使い勝手では、フォルクスワーゲンがトップだ。