【煮え切らないR】フォルクスワーゲン・トゥアレグR eハイブリッドへ試乗 PHEVで登場
公開 : 2021.04.10 08:25 更新 : 2021.07.27 14:50
14.3kWhのバッテリーでEVモード32km
トゥアレグRに積まれる駆動用バッテリーは、14.3kWh。通常の内燃モデルと比較すると、荷室空間がわずかに削られている。
BMWやメルセデス・ベンツといったブランドのPHEV版SUVには、20kWh以上のバッテリーが積まれている。2021年のSUVとして、期待に応える容量とはいいにくい。
EVモードでの航続距離は、満充電で32km。バッテリーが空の状態でしばらく走らせていると、燃費は10.0km/Lから10.6km/L程度へ悪化する。ライバルの一部とは異なり、DC急速充電器にも対応していない。
PHEVとしては、燃費効率やCO2の排出量の低さを自慢したいところ。でも、目立った長所とまではいえなさそうだ。
トゥアレグRのグリップ力は高く、操縦性に優れ、低速域では機敏な身のこなしを披露する。車重2.5tもあるクルマとしては、姿勢制御も充分評価できる水準にある。
そこから速度を上げつつ、スポーツ・モードを選んでみる。突出して正確なハンドリングや優れたコーナリングバランス、手や足に伝わるフィードバックといった、惹き込まれるドライビング体験を「R」として期待するだろう。
だが、完全には応えてくれない。全般的に快適で、路面からの隔離性も良く、高級さを感じさせてはくれるのだけれど。
クルマの動的性能を可能な限り引き出したいと考えるドライバーは、オプションの22インチ・ホイールは選ばない方が良いだろう。乗り心地にも穏やかさがなくなってしまう。
煮え切らなさを感じる高性能なトゥアレグ
トゥアレグR eハイブリッドは高性能SUVだが、どこか不自然で煮え切らなさを感じる。運転の楽しさも、実際は期待値ほどではない。
派手なボディの内側には、優れたトゥアレグらしさも残る。高いオフロード性能を備えた四輪駆動で、技術的な装備も高水準にあり、安全性にも抜かりはない。また、ライバルと比べれば価格も高すぎない部類に入る。
PHEVのSUVの場合、牽引重量は1t以下に限定されることが多い。だが、トゥアレグR eハイブリッドは3.5tまでのトレーラーを引っ張れる。
ただし、より安価なディーゼル版トゥアレグでも、同様の能力を叶えてくれる。控えめということが最大の特徴といえるフォルクスワーゲン製のSUVにとって、性能を高めた7万ポンド(1050万円)のRは、ブランドにはそぐわない印象を受けてしまった。
フォルクスワーゲン・トゥアレグR eハイブリッド(英国仕様)のスペック
価格:7万1995ポンド(1079万円)
全長:4878mm
全幅:1984mm
全高:1702mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.1秒
燃費:33.7km/L
CO2排出量:67g/km
車両重量:−
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:14.3kWh
最高出力:462ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック