【都会派レンジにピッタリ】ランドローバー・レンジローバー・ヴェラールP400eへ試乗 PHEV追加 後編
公開 : 2021.04.11 19:05 更新 : 2021.07.27 14:50
PHEV化で、最も現代的なレンジローバーになったヴェラールP400e。気になる部分はあるものの、2021年の市場嗜好にピッタリだと英国編集部は評価します。
ハイブリッドもEVモードも扱いやすい
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のレンジローバー・ヴェラールP400e。ブレーキの効きが、ハイブリッド・モードの直感的で扱いやすい感覚を生んでいる。回生ブレーキが付いていながら、ペダルを踏んだときのフィーリングがとても自然なのだ。
市街地を穏やかに運転するような場面では、静かで効果的なPHEVの振る舞いに、不自然さを感じることはないだろう。ステアリングの反応も正確で、好印象につながっている。
EVモードも扱いやすい。電気モーターだけで走行していると、特に滑らかな路面では別のモデルに乗っているような感覚に陥る。ディスカバリーや通常のレンジローバーと比べると実用性に劣る車内だったり、乗用車に近い運転姿勢のためだろう。
EVモードで走行するP400eは、市街地なら活発。ボディが大きいだけに、狭い道では注意深く進む必要性を感じるほど。
少し気になったのが、滑らかさに欠ける路面での乗り心地。駆動用バッテリーなど、PHEVの装備のおかげで車重は200kgも増え、サスペンション・スプリングとダンパーのレートが高められていることが原因のはず。
凹凸のあるような区間では、一般的なサルーン以上に車内へ伝わる揺れが大きい。近年のランドローバーで共通する、流れるように衝撃を吸収する滑らかさを、P400eは備えていない。
403psにイメージするほどたくましくはない
そもそもコンセプトカー然とした見た目を求めて巨大なホイールを履くヴェラールは、PHEVでなくてもランドローバーに望むような乗り心地を備えていなかった。ハンドリングは優れていたが。PHEVとなっても、その特性に変わりはないだけだ。
もう1つ残念に感じたのが、P400eの掲げる403psと65.1kg-mというスペックほど、たくましいとはいえないパフォーマンス。スタートダッシュは充分に鋭いものの、鋭い中間加速などを求めた場合、電気モーターのアシストは期待値以下だ。
8速ATがキックダウンし、エンジンの回転数が高まるころには、電気モーターのアシストは影に隠れてしまう。一般的な走行ペース以上を求めると、パワートレインにはもの足りなさが出てしまう。
また2.0Lの4気筒ターボエンジン単独で走っている場面では、2158kgという車重がのしかかる。余裕は感じられない。
レンジローバー・ヴェラールが欲しい前提で、市街地に住んでいて純EVモードでの走りが好きで、ガレージでの充電が可能なら、選ぶべきはP400eになると思う。
PHEVは、モデルラインナップの中で最も訴求力が高いというわけではない。だが、特定の条件が揃えば、優秀さが引き立ってくる。ややお決まりのまとめではあるけれど。
P400eではエアサスペンションが選べない。その結果、英国では1万ポンド(150万円)安い4気筒ディーゼルのD200も、負けない説得力を持ってくると思う。